研究課題/領域番号 |
19H01457
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
華井 和代 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任講師 (10768013)
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研究分担者 |
米川 正子 筑波学院大学, 経営情報学部, 准教授 (80626474)
MASWANA J.C. 立命館大学, 経済学部, 教授 (30378525)
大石 晃史 青山学院大学, 国際政治経済学部, 研究員 (60814944)
林 裕 福岡大学, 商学部, 准教授 (40779980)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アフリカ / コンゴ民主共和国 / 資源採掘 / 紛争鉱物取引規制 / 紛争下の性暴力 |
研究実績の概要 |
2020 年度は、文献調査、統計データ分析、欧米在住の難民による他のコンゴ難民への聞き取り調査を行った。また、オンライン・セミナーを3 回開催した。 研究の成果として、第1 に、紛争鉱物取引規制が鉱物産出地域において当初の計画通りには実施されておらず、武装勢力や国軍部隊が鉱物採掘・取引や周辺地域住民からの違法な「徴税」によって利益を得るStationary bandits と呼ばれる現象が定着している状況をとらえた。 第2 に、コンゴ東部で継続する重大な人権侵害のなかでも、紛争の武器としての性暴力が横行し続ける構造的要因として、武装勢力や国軍、周辺国軍の駐留によって形成された軍事的男性性が機能していることをとらえた。さらに、隣国ウガンダとルワンダによるコンゴ東部への介入が今なお続き、紛争の継続と残虐な暴力に影響力を持ち続けていることもとらえた。 第3 に、国連PKO が任務をコンゴ政府に移譲してその活動規模を縮小する準備を進める中で、2020 年7 月にはコンゴ東部キププ地域での大規模な虐殺事件が発生しており、国際社会の取り組みとコンゴの現状に齟齬が生じている実態をとらえた。 これらの研究成果は、日本国際政治学会や日本アフリカ学会などで発表するとともに、英語論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿して査読を受けている段階にある。新型コロナウイルスの感染拡大によって海外での現地調査が実施できなかったものの、文献と統計データの収集、日本語とフランス語の通訳を入れたオンライン・セミナーの開催が実現した。また、セミナーの動画に日本語とフランス語の字幕をつけて公開することで、ステークホルダー対話の広がりに貢献している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により海外渡航ができず、予定していた調査の一部はオンラインや委託に切り替えて実施した。しかし、2019年度に予定よりも早く海外調査が実施できていたことともあり、2020年度の研究方法を大幅に変更したものの、全体としては研究目的に沿うデータを入手することができ、おおむね計画に沿った研究ができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大と同時に、コンゴ東部での紛争状況が悪化しており、引き続き海外調査は困難が予想される。文献・統計調査を強化すると同時に、アフリカにおける感染の拡大による鉱物採掘・流通の変化や関係主体の利害関係と行動の変化を研究対象に含めて、資源が紛争の継続に利用され、住民の人権侵害を引き起こすメカニズムの解明を進める。
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