研究課題/領域番号 |
19H01485
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
小谷 浩示 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (80422583)
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研究分担者 |
西條 辰義 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 特任教授 (20205628)
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30633474)
柿中 真 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (40421234)
上條 良夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
青木 隆太 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任准教授 (50751103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不確実性 / 不明確性 / 公共財供給 / 公共悪供給 / 協力行動 / リスク行動 |
研究実績の概要 |
不確実性と不明確性下での公共財と公共悪供給の実験室実験を行い、不確実性と不明確性の度合いの変化が人々の公共財供給と公共悪供給への協力やリスク行動にどの様な影響を与えるのか、実験データを収集し分析を行った。不確実性と不明確性への人々の認知の違いを明らかにする為、不明確性下での実験実施の際に各被験者が如何に不明確性を嫌がるのか、を表す尺度である不明確性回避選好を測定しつつ、被験者間で公共財供給と公共悪供給に資する不明確性がどの様なものであるとされるのか予想をし合い、その予想情報の共有をグループ間で可能とする実験トリートメントを組み入れた。実験結果として、不確実性の度合いが上昇すると公共財と公共悪供給の両方の状況で人々の協力行動が一旦上がるが、その度合いが大き過ぎると協力行動が下がる事が理論と一致した形で確かめられた。この実験結果と比較するべく、不明確性の度合いの増減を組み入れた実験を行い比較検討を行った。不明確性下での実験結果として、不明確性の度合いが上昇すると人々の公共財と公共悪供給に対する協力行動が単調増加し始める傾向が見られた。これは不明確性下での実験結果とは大きく異る特徴であり、人々が行動する際に公共財供給と公共悪供給に資する確率分布が分かっているか分かっていないかは大きな違いを生むと云う事が明らかにされた。又、予備的統計分析結果であるものの、各被験者の不明確性の回避選好と不明確性の予想に関するグループ間での情報共有も人々の協力行動に影響を与える事が示唆された。特に、グループ間での情報共有の有無は協力行動に大きな影響を与え、不明確性の下で情報共有が進めば進む程、人々の協力行動が下がる傾向にある事が示唆された。これら不明確性下での実験結果は気候変動問題における人間行動を禁じするものと考えられ重要な研究成果として考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば上記した研究実績に基き論文執筆、及び、論文の学術誌への投稿が完了している筈であった。しかし、コロナ感染症拡大の影響もあり当初予定していた実験室実験を予定通り行えなかった事に起因し、中々十分なサンプル数を保持した形で実験を完了出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
実験データ収集を完了し現在はほぼ統計分析を終えた状態となっている。これら統計分析結果を纏め学術論文を作成して行く事で当初予定していた研究計画を完了する事となる。
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