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2020 年度 実績報告書

混合介護の導入による介護保険政策の転換と非営利事業者の「営利化」

研究課題

研究課題/領域番号 19H01594
研究機関東洋大学

研究代表者

須田 木綿子  東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)

研究分担者 門 美由紀  東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (40732780)
米澤 旦  明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60711926)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード介護保険指定事業者 / コロナ禍 / 倒産 / 管理主義 / 厚生労働省
研究実績の概要

新型コロナ感染症の拡大に介護保険指定事業者は大きな影響を受け、倒産が増加しているというメディア報道がなされた。しかしこれまでの研究を通じて、介護保険制度下では、商業的競争よりも管理主義にもとづく薄利多売競争の原理がより大きくはたらいていることが確認されている。そしてコロナ禍では、厚生労働省が事業者を支援するための各種の政策を実施しており、上述の管理主義がドミナントである環境は、そのような政策的な介入の有効性が高く、したがって、事業者の倒産や退出は抑制されることが予想される。すなわち、メディア報道は、理論的な予測とは異なる内容となっている。
そこで繰越金を用いて、2020年度に実施した調査のフォローアップ調査を行ない、事業者の事業継続状況を把握した。その結果、コロナ禍での事業者の倒産・退出件数は、これまでの調査結果に基づいて算出される予測値よりも低いことがわかった。すなわち、新型コロナ感染症の拡大において介護保険指定事業者の倒産が増加したというメディア報道は誤りであることが示された。
そして以上の結果をふまえ、コロナ禍の経験は、介護保険制度の性質を大きく変えるであろうことが予測された。すなわち、日本の介護保険事業は薄利多売ながらも危機に強いとして、外資系企業からも再評価がなされつつあり、今後は、国内外のチェーン組織が増えることによって、地域密着型のサービス供給の理念からは遠ざかるであろうと考えられる。
この結果は論文としてとりまとめ、2021年度内に学術誌に投稿した。2022年4月現在、マイナーな修正をもって受稿との通知が得られたところである。

現在までの達成度
現在までの達成度

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上述のとおり、これまでのパネル調査を活用して緊急のフォローアップ調査を行い、コロナ禍の影響を検証した。

今後の研究の推進方策

繰越金を用いて2021年度の研究課題は完了した。
この間、新たな課題が把握されている。まず、本研究は2005年以来のパネル調査を継続してすすめているのだが、介護保険指定事業者のチェーン化がすすみ、本社の承諾なしには調査に回答できないという事業者が増えた。コロナ禍では感染コントロールの必要性からも、本社による業務管理の範囲が拡大し、個別の事業者を対象とする調査の実施は困難になりつつある。このようななかでパネル調査を継続する方策として、①事業者の事業継続状況はHPからでも把握可能であるので1~2年単位の観察を続け、②コロナ禍以前に混合介護事業において先進的な取り組みをしていた自治体への聞き取り調査を行うとともに、③2021年度にオンラインでインタビューを行った対象者を現地に訪問して、より詳細な情報を収集する。

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公開日: 2022-12-28  

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