研究課題/領域番号 |
19H01594
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
須田 木綿子 東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)
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研究分担者 |
門 美由紀 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (40732780)
米澤 旦 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60711926)
西野 淑美 東洋大学, 社会学部, 准教授 (30386304)
川副 早央里 東洋大学, 社会学部, 助教 (50778660)
小山 弘美 関東学院大学, 社会学部, 准教授 (00732801)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 介護保険 / 混合介護 / 営利 / 非営利 / 人材 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、介護保険制度における混合介護導入の影響を、非営利と営利の事業者との関係とサービス利用者の個人責任のあり方の視点からすることである。2021年度の成果は、以下の3点である。 まず、2019年度末に実施した調査を通じて得られたデータの整理と解析を2020年度から行って論文にまとめ、学術誌に投稿して2021年度に掲載された。混合介護については、「知らない」もしくは「導入する予定はない」という事業者が大半であった。また、民営化政策では商業主義的競争の原理と管理主義的競争の原理の両者が機能し得るが、介護保険制度では後者の原理がドミナントであり、よって、非営利事業者の「営利化」も抑制されている様子がうかがわれた。 次に、上記の検討の過程で、少数ながらも個々の事業者レベルにおいて、混合介護をめぐる様々な工夫がなされている様子が把握された。同時に、そのような工夫を可能にするには柔軟な発想を持つ人材が不可欠なのだが、往々にして人材の定着率が低く、新しい取り組みも継続し得ない様子がうかがわれた。そこで、介護等の対人サービス事業に従事しながら異動をしたスタッフを対象とするインタビュー調査を実施した。得られた結果の検討は、2022年に着手する。 最後に、本研究は方法論として社会学領域の組織理論を用いているのだが、我が国では未だに周知されていない新しい理論である。本研究の副産物ながら、社会組織理論のテキストをまとめ、刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にて、調査計画や研究スケジュールの修正が求められた。この間、オンラインの活用が広がり、インタビュー調査もオンラインで行うことができるようになったので、当初の予定よりも多くの調査を行っている。コロナ禍による新たな課題も観察され、建設的な意味における想定外の結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2005年以来のパネル調査を継続してすすめている。この間、介護保険指定事業者のチェーン化がすすみ、本社の承諾なしには調査に回答でいないという事業者が増えた。コロナ禍では感染コントロールの必要性からも、本社による業務管理の範囲が拡大し、個別の事業者を対象とする調査の実施は困難になりつつある。 この間、2019年度以来の取り組みにおいて、新たな課題が把握されている。これをふまえて2022年度には、①通所介護事業者の継続状況調査と②コロナ禍以前に混合介護事業において先進的な取り組みをしていた自治体への聞き取り調査を行うとともに、③2021年度にインタビューを実施した対象者数名を現地に訪問して、より詳細な情報を収集する。
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