研究課題
1)保育実践と理論化/ 研究協力保育施設におけるプロジェクトの学びの活動について調査を行った。8月は宇宙プロジェクトにおける「絵の表現→身体表現→再び絵の表現」の活動を追い、9月には粘土と多様な素材で制作するプロセスを捉えた。そこでの保育者と子どもとの対話の観察と活動後の保育者へのインタビューを行った。聴き入ることにより、子どもの言葉と素材の特性から生まれる意味づけが作品に込められ、現実と空想の世界が編み込まれ、そこにアート的思考による意味づけと問いが創造されていくことを突き止めた。2)アプリ開発/ 保育実践での評価をもとに新たな機能を加えることができた。特にESAについては実験的ソフト構造から汎用性のあるデータ構造(への再構築を行った。例えばデジカメなど他のツールによる記録データの読み込みと書き出しなど、より用途に適応した仕様への変更を行い、格段に使いやすさへの展開を行った。3)調査について/ 5月にイタリアのレッジョ・エミリア市を訪れ、街をあげてのアートによるイベント(レッジョナラ)に参加し、アート表現を通した共同体としての街について調査した。国際センターでのワークショップにも参加し、様々な実験的装置に触れ、実験とアートの関係についての考察を行った。11月に再訪し、国際センターでの研修会に参加し、アーカイブセンターと素材を扱うリサイクルセンター(REMIDA)を訪問した。ワークショップにも参加し素材のプロジェクトの学びの役割についての考察を行った。4)学会発表/ 国内学会の保育学会では、ドキュメンテーションに関する発表を行った。6月のデザイン学会では多種類の素材を扱った表現活動に着目し、子どもと保育者との対話についての発表を行った。また国際学会では8月にEECERAでの発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
1)保育実践と理論化/2019年度は概ね順調に研究計画通り進めることができた。研究協力保育施設での調査は、プロジェクトの学びにおける表現活動に着目し、そこでの「子どもと保育者との対話」および「作品制作における素材との対話」の関係性を捉え、そこから学びが変容していくプロセスを考察することができた。2)アプリ開発/ESA&ESの評価をもとにデザイン展開を行った。その際、ソフトウェアの構造を再構築することが必要性からより汎用性のあるアプリとして開発することができた。保育者からのインタビューをもとにしたプロジェクトの学びを推進していく時の意識構造については考察できたが、それをもとにした評価については次年度へ展開予定している。3)調査/イタリアのレッジョ・エミリア市への訪問することができた。レッジョナラの調査を行うことができた。また国際センターでの研修会に参加し、ワークショップ参加やドキュメンテーションセンターでの調査とリサイクルセンターの調査を行うことができた。また同センターでの文献およびDVDなどの資料も購入することができた。ただ3月の英国へのリサーチがコロナ禍により中止せざるを得なくなり、次年度へ持ち越された。4)学会発表/予定通り国内学会(保育学会・デザイン学会)において、また国際学会(EECERA)において研究内容について発表を行うことができた。
1)保育実践と理論化/プロジェクトのプロセスの期間を広げ全体の流れについて捉えていくことを試みる。方法としては、年間を通したドキュメンテーションの記録をたどること、それを作成した保育者とのプロセスを追いながら綿密なディスカッションを通して行う。そのプロセスの中で「アート的思考」とはどのような活動として捉えることができるのか、またそこでのドキュメンテーション・表現の種類やそこで扱われる素材、また子どもとの対話(傾聴)の関係性について精査していく。2)アプリ開発/ プロジェクトを推進する際の重要な機能として、マインドマップがある。この可能性について開発を通して検討していく。特に、マインドマップが展開しているプロセスを時系列に追っていくこと。また個人・年齢・プロジェクトの流れを俯瞰して捉えたり、同時並行して展開するプロジェクト同士の関係性を捉える機能を開発していく予定である。3)調査について/ 調査は上記に挙げたように、プロジェクトの経緯をドキュメンテーションとそれを作成した保育者を交えてインタビュー調査を行なっていく。また現状の展開しているプロジェクトについてドキュメンテーションの記述方法についてと自己のプロジェクトを推進している時のリフレクション及び評価について探究していく。4)学会発表/ 1年目に引き続き国内での学会発表、および国際学会についても初年度に引き続き行う予定である。
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鶴川女子短期大学国際こども教育研究センター紀要
巻: 第2号 ページ: p1-11
色彩教育
巻: Vol.37 ページ: 6-13