研究課題/領域番号 |
19H01730
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
河野 銀子 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10282196)
|
研究分担者 |
坂無 淳 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (30565966)
大濱 慶子 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30708566)
鈴木 宏昭 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90581843)
ミラー ジェリー 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (90455882)
平林 真伊 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (70803021)
後藤 みな 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (10817711)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | STEM / アドミッション / 高大接続 / 学生支援 / 女子の理系進路 / 米国 / インタビュー調査 / 非伝統的学生 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学のSTEM分野の女性学生数を増加させることが可能なのはどのような高大接続制度なのかを探るため、高大接続の形態が異なる4ヵ国(ドイツ、シンガポール、中国、米国)を対象として選定し、WEB調査やインタビュー調査を行うものである。 WEB調査は順調に進められたため、学会発表や日本学術会議のシンポジウム開催協力、および学術雑誌において成果を公表した。当初2020年度に予定していた米国での現地調査は、新型コロナウイルス感染症感染拡大により2022年度に実施した。具体的には、X大学のアドミッション責任者、リベラルアーツ学部における学生支援センターや理工系学部の教職員、工学部の学生支援アドバイザー、学部生や大学院生、さらに非伝統的学生の支援組織や理工系分野の女性の支援センターの責任者等にインタビューを実施した。また、帰国後もオンラインによる追加インタビューを行った。 インタビュー調査から、高大接続形態が「多元的/資格試験型」に該当する米国において、学生が理工系分野を選択するプロセスの一端が明らかになった。学内外に、個々の学生が相談できる機会やピアグループによる支え合いの機会があり、そうした多様で重層的なサポートを得ながら、学生たちは自らの関心に基づいて専攻分野を決定していた。早期決定できないことや希望の変更に対して、肯定的なスタンスで支援するという特徴もみられた。それでも、依然として少数派である工学専攻の女性学生・院生たちからは、高校でも大学でも孤独感を感じることや成長期にSTEM分野の女性のロールモデルを見たことがない等の不利が語られ、より幼い頃からSTEMに関わる経験をすることが女性の理系選択に欠かせないという見解が示された。米国でも、こうした経験なくして女性が当該分野を選択するのは難しいという現状が浮かび上がった。インタビュー結果に基づく論稿も、学術雑誌に公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
米国におけるインタビュー調査の実施は当初計画より遅れたものの、本研究を遂行する上で適切なインタビュー対象者らとアポイントが取れ、効率的な現地調査が実施できた。とくにX大学における高大接続(学生募集から合否の審査方法、入学前後の学習サポート等)について、WEB上では得られない貴重な情報を得ることができ、非常に有益であった。 また、先行研究やWEB調査による入念な下調べやオンラインによるプレインタビューを実施していたことにより、現地調査の前に、それらに基づく知見をまとめ、学会で口頭発表をしたり、論稿にまとめて学術雑誌で公表することができた。 さらに、米国での現地調査においては、当初計画に含まれていなかった組織等におけるインタビュー調査を追加で実施することができ、より多角的な把握が可能となった。また帰国後、すぐに論稿にまとめることもでき、間を空けずに研究成果を公表できた。 以上を踏まえ、表記の評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
米国におけるインタビュー調査は効果的に行うことができたが、他の国の調査も含め、全体として外国調査が遅れた。そのため、研究全体の進捗は当初計画より後ろ倒しになっている。今後、当初の研究計画を踏まえつつ、代替的な研究方法を検討するなどして、全体を調整しながら進めていく。
|