研究課題
局所体の分岐群についての古典的な定理にHasse--Arfの定理がある。これはアーベル拡大に対し、上つき分岐群のジャンプは整数であるというものである。この定理は、剰余体の拡大が分離拡大の場合に成り立つが、1980年台に加藤和也氏は、剰余体の拡大が非分離な場合にも、これが1つの元で生成され、さらに分岐指数が1の場合にも成り立つことを示していた。今年度の研究で、定理が成り立つための必要十分条件を与え、対数単生的とよぶことにした。これは整数環が対数スキームとして、対数的にスムーズかつ相対次元が1のスキームにexactに埋め込めるという条件である。Hasse--Arfの定理は分岐の古典理論における中心的な定理であるが、この結果により、その成立する理由が明らかになった。証明は、微分形式の加群の跡写像を用いた、拡大次数に関する帰納法によるものである。整数環の拡大は完全交叉なので、有限射に対するGrothendieck双対性の方法を用いて跡写像が定義されるが、この方法を対数つきの場合に拡張して跡写像を構成した。この結果はベトナム・ハノイで開催された研究集会と、金沢で開かれた研究集会で発表した。詳細は、現在執筆中の、局所体の分岐群についてまとめている本に書いた。この本の原稿が完成したので、出版社に原稿を送った。内容は、分岐群について定義から、次数商についての特性形式についての最近の結果まで、20年以上にわたる研究の成果をまとめたもので、原稿は300ページを超えるものとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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American Journal of Mathematics
巻: 145 ページ: 1389~1464
10.1353/ajm.2023.a907702
proceedings of International conference on arithmetic geometry 2020, TIFR.
巻: N/A ページ: 421-433