研究課題
基盤研究(B)
グラファイトおよびサファイヤにおけるフォノンの流体的熱輸送の観測を通じて、同現象が固体結晶に普遍的に現れ得ることを示した。またグラファイトでは試料の厚さを薄くすることで熱伝導率が向上することを見出した。この現象の背後には構造の僅かな違いが起源となっている可能性が示された。今後僅かな構造変化によってフォノン分散が変更を受け、フォノン―フォノン散乱における正常散乱の散乱位相空間が増大していることを第一原理計算を通じて実証し、ミクロな視点からの現象の解明を目指す。
固体物性
フォノンの流体的熱輸送が特定の純良物質や特定の温度域に限定されず、固体結晶に広く見出し得ること示し、我々の固体の熱輸送についての基礎的理解を促進した。結晶構造の僅かな違いがフォノンの流体的性質ならびに熱伝導率の大きさに多大なる影響を与え得ることを見出した。この結果はフォノンの流体的性質を積極的に活用することにより固体の熱伝導率が自在に制御でき得ることを示しており、従来の方法とは一線を画す熱伝導制御技術の礎となる可能性を提供している。