研究課題
中性子星・ブラックホールのようなコンパクト天体のなかでも、1兆ガウスを超える強磁場を持つ中性子星へのガス降着は、未だ理論的な理解が得られていない、天体物理学の難関問題である。本研究の目的は、この非常に複雑なシステムに対して、実験・理論の両面からこれまでにない手法でアプローチすることで、地上では到底実現できない強磁場のもとで物質と放射が如何に振る舞うかを解明することである。実験的には、エネルギーが10-30 keVの硬X線帯域で偏光撮像観測の実現を目指し、CMOSイメージセンサを用いたX線撮像偏光計の開発と性能評価を行ってきた。データ解析のためには精密な理論モデルが必要であり、強磁場のもとで光子が電子に散乱される過程を正確に計算するモンテカルロシミュレーションを行い、降着プラズマ流の3次元X線放射モデルの開発を行っている。2021年度計画 (パンデミックにより研究計画を2022年度まで繰越) では「微小ピクセルCMOSイメージセンサ偏光計」と「微細加工による符号化開口マスク」を統合する実用的な偏光撮像システムを製作し、シンクロトロン放射光施設SPring-8の硬X線ビームを用いて、性能評価試験を行った。2次元方向に空間的に広がった偏光データの取得に成功し、新しい偏光撮像アルゴリズムを用いて偏光撮像の実証に成功した。天体物理学の面では、明るい中性子星連星である「Cen X-3」の「NuSTAR」衛星 のデータ解析を行い、広帯域X線スペクトルの時間変動の解析結果を論文として出版した。また、モンテカルロシミュレーションによるモデル化を進め、論文発表予定である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 3件、 査読あり 15件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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