研究課題/領域番号 |
19H02000
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 卓也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90370808)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地殻変動 / ひずみ集中帯 / GNSS / 山陰地方 / 内陸地震 |
研究実績の概要 |
山陰地方におけるGNSS地殻変動観測を継続し、日座標値の自動計算とホームページでの公開を継続した。観測は、大きな欠測もなく順調に続けられており、2022年度には高精度の変位速度場が得られることが期待される。また、山陰ひずみ集中帯の北側における日本海地域の地殻変動を明らかにする目的で、日本海の島嶼(竹島および鬱陵島)と朝鮮半島の2017年以降のGNSSデータについて、韓国のGNSSデータ公開サイトからダウンロードを行い、座標値と変位速度の算出を行った。その結果、これらの観測点では、2019年からの4年間の平均でアムールプレート安定部に対し2-7mm程度の東向きの速度を持つことがわかった。 また、当初の研究計画には含まれないが本研究の対象地域である山陰地方と日本海沿岸や群発地震が発生するという共通点がある能登半島地域において、群発地震活動に伴う非定常地殻変動が観測されたため、臨時のGNSS観測およびデータ解析を行った。能登半島では、2020年12月頃から地震活動が活発になり、2021年7月頃からは多数の有感地震を含む活発な群発地震活動が継続しているが、同時期より国土地理院のGNSS観測網(GEONET)においても、隆起や膨張を示す地殻変動が観測されたため、震源域の近傍2箇所に臨時GNSS観測点を設置した。観測された地殻変動は、概ね群発地震の4つのクラスターの中心に位置し、深さ十数kmの球状圧力源で概ね再現できることを確認した。ただ、地殻変動源の時間変化と地震活動の時間変化は詳細に対比すると異なっており、速度状態依存摩擦則から導かれた地震活動度(Dietrich, 1994)モデルでは観測された地震活動度の時間推移全体を説明することは困難であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍における出張制限のため、当初遅れていた海外研究者との議論についても、今年度はAGU(米国地球物理学連合)に対面参加することによって実現することができたため、概ね計画通り、順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で新設したGNSS観測点においては、安定した速度が推定できる3年間以上のデータが蓄積する2022年度において、周辺の観測点も含めて変位速度とひずみ速度分布の推定を行う予定である。現段階では特に研究計画の変更は予定していない。
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