GNSS観測点の新設と既存の観測点の統合解析により、山陰ひずみ集中帯を中心とする西南日本周辺の詳細地殻変動分布が明らかになった。広域の地殻変動解析から、山陰ひずみ集中帯はアムールプレートとフィリピン海プレートの相対運動の一部を担うブロック境界であることが明らかになる一方、鳥取県では顕著に見られるひずみ速度の集中域は、島根県西部より西側では顕著ではなく、ブロック境界は沖合に存在することが示唆される。また、南海トラフの地震サイクルに伴う地殻変動シミュレーションから、マントルの粘弾性緩和の影響は、地震サイクルの後半では過去の大地震の影響とプレート間固着の影響が打ち消し合うため、小さいことがわかった。
|