本研究は、河川汽水域の生息場構造と複数のスケールの環境要因との関係を解明し、環境再生の際に目標となる潜在自然河相を明らかにすることを目的に実施した。東日本に位置する93河川の河川汽水域の生息場構造の分類の結果、砂潟や平瀬が卓越する太平洋側の河川、日本海側に位置する礫潟および早瀬が卓越する河川、砂潟およびとろが卓越する河川の3群に分類された。決定木解析の結果、流域およびセグメントスケールの要因が分類に影響を及ぼす要因であることが明らかとなった。また、礫潟はダム集水域の割合が小さい河川で多くみられる傾向にあり、ダムによる礫の供給量の変化が河川汽水域の環境構造に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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