従来から,ウォーターミストへの添加剤として利用するために,数多くの金属化合物が模索されてきたが,既知化合物の中から宝探し的に探索されており,化合物選定に関して明確な学理が無かった.また,粉末消火剤の有効成分としてリン酸塩が用いられているが,リン鉱石には枯渇リスクや産出国のカントリーリスクがある.本研究で提案した新規消火剤は,どれも既存消火剤よりも高性能であるだけではなく,使用元素のユビキタス化を達成した.従って,火災による被害低減およびユビキタス元素戦略に資する社会的貢献ができたと考えられる.これに加え,高性能消火剤の分子設計に資する先駆的指針を示すことができ,ここに学術的意義があると言える.
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