研究課題/領域番号 |
19H02638
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三輪 修一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00705288)
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研究分担者 |
坂下 弘人 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (00142696)
伊藤 大介 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (30630024)
伊藤 啓 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (50421590)
沢 和弘 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80355015)
舩谷 俊平 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50607588)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 気液二相流 / 熱流体工学 |
研究実績の概要 |
本研究提案では、次世代型原子炉における高性能蒸気インジェクタ(SI)の静的安全系としての適用を目標として掲げている。本研究提案にて行ったSI作動試験(北海道大学)については、本課題にて新規設計したポリカーボネート製の中心水噴流型SI本体並びに計測系、給水ポンプ等の付帯設備からなるテストセクションを用い、SI起動・作動時における軸方向圧力及び温度分布からなるデータベースの構築を実施した。2020年度においては、複雑な混相流現象を有するSI内部の作動メカニズムを解明するため、レーザー誘起蛍光法(山梨大学)による可視化と、ワイヤメッシュセンサ(京都大学)による計測手法の新規確立に取り組んだ。 本年度は、2019年度に製作した可視化SI実験装置を用い、トレーサ粒子を備えた冷却材を主噴流としてSI内部へ流入させ、供給蒸気圧力最大0.2MPaの条件においてSI作動実験を行った。具体的には、超音速で流入する蒸気との直接接触凝縮により観測される界面乱れの可視化に取り組み、SI混合ノズル部における二次元速度場の可視化を行った。また、接触する温度により異なる励起特性を有するトレーサーを採用し、混合ノズル部内における噴流崩壊ならびに蒸気凝縮過程の可視化に成功した。 また、前年度の実験により、従来完全凝縮とされているSI吐出部の排出水において蒸気塊の存在が確認されたことから、ワイヤメッシュセンサによる気液混合割合の計測を計画している。本年度は、SI計測用に開発されたワイヤメッシュセンサを室温大気圧条件下の気液二相流ループに設置し、計測性能の評価を実施した。SIに取り付け、高圧高流速条件下におけるデータ収集を最終年度に行うため、設備改良を実施中である。 数値解析シミュレーション(京都大学)においては、噴流崩壊メカニズムの現象解明・再現に向け、インハウスコードによる直接接触凝縮モデルの検討を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
緊急事態宣言発令に伴い、対面面談ならびに共同実験の実施が中止となったことから、当初計画の変更を余儀なくされた。これにより、LIF法による可視化実験、ワイヤメッシュセンサを用いたボイド率測定において予定していた基礎実験ならびに評価データの取得に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に引き続き、高性能蒸気インジェクタ(SI)の静的安全系としての適用を提言するため、可視化計測、LIF法(山梨大学)、ワイヤメッシュセンサ(京都大学)による基礎実験データの拡充を図り、シミュレーションコード(京都大学)ならびに一次元解析モデルの高度化を目指す。また、SIの正常作動ならびに不作動条件の物理的要因を可視化データ結果から特定し、直接接触郷宿にかかわる理論ならびに構成式の検討を行う予定である。
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