研究実績の概要 |
・1分子伝導測定について:BJ法により電極を可動させ,架橋分子に印加した力学刺激を加え,クロミック特性を有するスピロピラン(SP)の1分子伝導特性評価を行った.その結果,整流性を示すI-Vカーブから対称なI-Vカーブへの変化を観測した.DFT計算結果から,整流性はSP体,対称なI-V特性はメロシアニン(MC)由来と示され,力学による1分子の異性化に起因する電気伝導性のスイッチに成功した[Nanoscale, 2020, 12, 7527]. ・シグモイド型センサについて:白金 - アセチリド部位を共役鎖内に含有する被覆型分子とルテニウム錯体を導入した分子ワイヤは一酸化炭素に対し高感度センシングし,配位結合に基づくポリマー/モノマーの可逆的な変換を実現した[Nat. Commun. 2020, 11, 408]. ・1分子センサについて:分析化学の究極の目標の一つであるアミノ酸の高速識別のために,シクロデキストリンを分子認識部位として有する1分子センサを作製し,pH依存性を伴うリアルタイム伝導度測定により4つのアミノ酸とそれらのエナンチオマーを,数マイクロ秒以内に区別することに成功した.本手法は1分子のタンパク質配列決の簡便な決定法として期待される[Sci. Adv., 2021, 7, abe4365]. ・配向制御プラグ分子の合成について:環状分子としてPMαCD,接合部にカルボキシル基を有する配向制御プラグ分子の合成に成功した.このプラグ分子は導電性金属酸化物である酸化インジウムスズの単結晶基板上に凝集することなく分散し接合した.また,X線光電子分光・赤外分光・原子間力顕微鏡・CV測定により単分子性・高い電子輸送能を有することを明らかとした(現在論文投稿中),
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