研究課題
これまでカテナンの機能化の多くは、外部刺激により環状分子の運動性をon/offという二状態間でスイッチングすることで行われてきた。ここで、より多くの状態間のスイッチングに伴う複雑な運動性の制御が可能なカテナンを設計することができれば、カテナンの機能の高次化に繋がると考えられる。そこで本研究では、二つの環状Znポルフィリンダイマーと一つの環状Ruポルフィリンダイマーからなる[3]カテナンを合成し、Zn及びRuポルフィリンと窒素系配位子との配位結合を活用することで、環状分子の運動性に対する多状態制御の実現を目指した。前年度までに合成を達成したZn及びRuを中心金属とした含ポルフィリン環状分子からなるポルフィリン[3]カテナンについて、その機能性の開拓を行った。特に研究員はポルフィリンの有する分子認識能に着目し、様々な構造のゲスト分子をポルフィリン[3]カテナンに対して錯化させた場合の挙動を掘り下げることで研究を推し進めてきた。その結果、ゲスト分子として配位点の数が異なる種々のアミン系多座配位子を使い分けることで、ポルフィリン[3]カテナンにおける三種類の超分子構造をスイッチング可能であることを見出した。また、超分子構造のスイッチングがカテナンの物性に対してどのような変化をもたらすのかについて分光測定を基に詳細に調査した結果、カテナンを構成する環状分子間での光誘起電子移動効率の変化とそれに伴う発光特性のチューニングが可能であることを明らかとした。有機分子であるアミン系配位子を活用することでカテナンの超分子構造とその光物性を高次に制御可能というのは類を見ない系であるため、本研究成果はカテナンをはじめとしたインターロック分子の機能化に対して新たな手法を提示する研究へと発展する余地があると期待できる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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