電子スピン共鳴分光(Electron Spin Resonance)法を用いてラジカル重合反応の詳細を明らかにする研究を行っている。その中でも電気化学セルとESRとを組み合わせた電解ESR法はこれまで測定する方法がほとんどなかった短寿命で不安定なラジカル種の酸化還元電位を正確に見積もられる可能性があると考え、実施した。最も重要な目標はラジカル重合の成長ラジカルの酸化還元電位を見積ることである。まず安定ラジカルであるTEMPOを用い、スペクトルの出現消滅と電位との関係を調べた。本来の目的であった実際の成長ラジカルの酸化還元電位とESRスペクトルとの対応はごく弱い相関しかまだ観測されていない。
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