全葉緑体ゲノムの配列決定により、種間の遺伝的多様性のレベルは様々であり、南限の集団と分布の中心の集団の分岐のレベルも様々であることが判明した。このことは、12種の亜高山帯の種が対照的な更新世の歴史を持つか、過去の分散のレベルが異なることを示唆している。ハリブキの葉緑体DNA解析では、石鎚山の最南端集団が本州中央部の集団と遺伝的に近いことが示された。一方、ハクサンシャクナゲの四国にある南限集団は、葉緑体DNAが高度に分岐していることがわかった。興味深いことに、両種とも、東日本と本州中部・西日本の間で遺伝的差異が大きかった。
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