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2019 年度 実績報告書

慢性炎症とがんをつなぐ増殖因子受容体のオルタナティブ活性化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03368
研究機関富山大学

研究代表者

櫻井 宏明  富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (00345571)

研究分担者 横山 悟  富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (90613498)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードがん / シグナル伝達 / 受容体 / 増殖因子 / キナーゼ
研究実績の概要

我々はこれまでに、増殖シグナルにおいてチロシンキナーゼ型受容体EphA2の非定型的活性化機構として、ERK-RSKを介したEphA2 Ser-897リン酸化経路を報告している。腫瘍内においてがん細胞は様々な細胞ストレスに暴露されていることから、EphA2リン酸化に対するストレス刺激の影響を検討した。その結果、タンパク質合成阻害剤アニソマイシンや抗がん剤シスプラチンがリン酸化を誘導することがわかった。その活性化経路を調べた結果、p38が関与していることがわかった。一方、EGF刺激におけるEphA2リン酸化にはp38は関与しておらず、ストレスシグナルに選択的な経路の存在が明らかになった。現在、p38からEphA2リン酸化に至る下流シグナルの解析を進めている。
EGFRのオルタナティブ活性化経路については、細胞内へのエンドサイトーシス機構の解析を進めている。これまでに、チロシンキナーゼ活性化に伴う自己リン酸化により誘導されるリガンドとともにエンドサイトーシスする機構(定型的)と、p38を介したセリン/スレオニン残基のリン酸化によるオルタナティブ活性化に伴う機構(非定型的)の存在を明らかにしている。この二つの機構をより詳細に解析するために、まずEGFRをノックダウンしたHeLa細胞の樹立を試みた。その結果、CRISPR/Cas9システムを用いて、ノックアウト細胞の樹立に成功した。この細胞は、血清存在下の細胞増殖に異常は認められなかったが、血清非存在下では親株と比較して明らかに細胞増殖が低下していた。今後、この細胞にEGFRの変異体を発現させ、エンドサイトーシス機能を解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画の中心的な位置づけであるEphA2のオルタナティブ活性化について、新しいシグナル経路を見出すことができた。他のチロシンキナーゼ型受容体に関しても、予備的な研究成果が得られており、オルタナティブ活性化の重要性を示しつつあると判断できる。

今後の研究の推進方策

引き続き、計画通り解析を進めていく予定であるが、論文化を達成することを最大目標として取り組むとともに、進捗の期待される課題により一層注力する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Rational combination therapy for melanoma with dinaciclib by targeting BAK-dependent cell death.2020

    • 著者名/発表者名
      Xu X., Eshima S., Kato S., Fisher D.E., Sakurai H., Hayakawa Y., and Yokoyama S.
    • 雑誌名

      Mol. Cancer Ther.

      巻: 19 ページ: 627-636

    • DOI

      10.1158/1535-7163.MCT-19-0451

    • 査読あり
  • [学会発表] GIST細胞におけるRSK阻害剤BI-D1870のKIT発現抑制による細胞増殖抑制効果2019

    • 著者名/発表者名
      石田勝也,福司弥生,周 越,横山 悟,櫻井 宏明
    • 学会等名
      第23回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] CDK2/9阻害剤DinaciclibによるBAKを介した抗悪性黒色腫効果と新規併用療法の提案2019

    • 著者名/発表者名
      横山 悟,早川芳弘,櫻井宏明
    • 学会等名
      第23回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] Phos-tag解析から見えてきた新しいEGFR活性化機構2019

    • 著者名/発表者名
      櫻井宏明
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会2019年大会・第70回日本電気泳動学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] STAMBPは、SLUGタンパク質の安定性を調節し、悪性黒色腫の転移を制御する2019

    • 著者名/発表者名
      横山悟,岩上雄亮,櫻井宏明,早川芳弘
    • 学会等名
      第28回日本がん転移学会学術集会
  • [学会発表] 白斑誘導物質ロドデノールによる抗悪性黒色腫効果の検討2019

    • 著者名/発表者名
      横山 悟,早川芳弘,櫻井宏明
    • 学会等名
      フォーラム2019 衛生薬学・環境トキシコロジー
  • [学会発表] 非定型的活性型EphA2による細胞遊走促進は小胞遊走関連タンパクRab11に依存する2019

    • 著者名/発表者名
      周 越,山畑伊織,山村朋弘,横山 悟,櫻井宏明
    • 学会等名
      第78回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 消化管間質腫瘍細胞におけるRSK阻害剤BI-D1870のKIT発現抑制による細胞増殖抑制効果2019

    • 著者名/発表者名
      石田勝也,福司弥生,周 越,横山 悟,櫻井宏明
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第131回例会
  • [学会発表] 悪性黒色腫におけるSOX10を介したPD-L1の発現制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤弘樹,高橋篤司,横山 悟,櫻井宏明
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第131回例会
  • [学会発表] ErbB2/3ヘテロダイマーにおける新たな非定型的リン酸化部位の同定2019

    • 著者名/発表者名
      地子愛佳里,池ヶ谷真吾,馬場絢子,河崎優希,周 越,櫻井宏明
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第131回例会
  • [学会発表] RSK-EphA2経路によって誘導される細胞遊走はRab11とRab11-FIP1に依存する2019

    • 著者名/発表者名
      周 越,山畑伊織,山村朋弘,横山 悟,櫻井宏明
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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