EGFRの細胞内輸送機構(古典的制御とオルタナティブ制御)について解析を進めてきた。昨年度までにEGFRノックアウトHeLa細胞に、古典的制御とオルタナティブ制御の両方を受けるEGFR野生型発現細胞(WT細胞)、および古典的制御(R1m細胞)またはオルタナティブ制御のみを受けるEGFR変異体発現細胞(ddm細胞)の樹立に成功していた。これら細胞を用いて検討した結果、TNF-α刺激によるオルタナティブ制御はすべてクラスリン依存性エンドサイトーシスであることを確認した。また、クラスリンアダプタータンパク質AP-2の関与も認められた。一方、リガンド結合型の古典的制御においては、クラスリンおよびAP-2依存性がほとんど認められなかったことから、従来考えられたきたリガンド結合型のクラスリン依存性エンドサイトーシス機構が存在しない可能性が考えられた。あるいは、オルタナティブ制御を受けないEGFRにおいては、クラスリン非依存性エンドサイトーシスが優先的に起こる可能性が考えられた。現在、他のエンドサイトーシス関連タンパク質の寄与を樹立した細胞を用いて検討しており、リガンド誘発のEGFRエンドサイトーシスの全容を明らかにしたい。 また、EGFR抗体セツキシマブのオルタナティブ制御によるエンドサイトーシスについては、リボソーム阻害タンパク質であるサポリンを共役した二次抗体を用いて、本法により細胞毒性が強くなることを見出した。これら一連の成果を、国内特許出願を行った。
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