研究課題
アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβ1-42(Aβ1-42)の神経細胞における集積はその発症と密接に関係する。脳細胞外液に放出され たAβ1-42は100~500 pMに達すると、細胞外Zn2+と結合し、シナプス神経活動に依存せずに海馬神経細胞に速やかに取り込まれる。細胞内では、Zn2+濃度が 低いためにZn-Aβ1-42からZn2+が遊離し、神経細胞死を惹起する。この細胞内Zn2+毒性を軽減するために、アドレナリンβ受容体アゴニストであるイソプロテレノールをマウス側脳室にAβ1-42とともに投与すると、海馬歯状回ではメタロチオネインレベルが上昇し、Aβ1-42由来のZn2+レベルの上昇が阻止された。その結果、歯状回では神経細胞死が阻止されることが明らかとなった。さらに、漢方薬である人参養栄湯、イグサ成分であるデヒドロエフソールを予め経口投与することにより、海馬歯状回ではメタロチオネインレベルが上昇し、同様に神経細胞死が阻止されることが明らかとなった。これらの経口投与は実験動物の自発運動量などに影響を与えず毒性は極めて低いと推測された。メタロチオネイン誘導合成によるAβ1-42由来のZn2+毒性軽減はアルツハイマー病の新たな予防戦略につながることを実験動物レベルで示した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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