研究課題/領域番号 |
19H03384
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三隅 将吾 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (40264311)
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研究分担者 |
高宗 暢暁 熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (60322749)
岸本 直樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 助教 (80756148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 粘膜ワクチン |
研究実績の概要 |
本年度、本研究申請では5つの目的をパラレルに運用することになっている。まずインフルエンザを対象にした次世代粘膜ワクチンを開発するため、小児に対する副反応(発熱)を低減させる処理を行った不活化全粒子インフルエンザ粒子に、M細胞標的分子TGDKを結合させたワクチン抗原(TI抗原)を調製することを開始した。1)不活化全粒子そのものは、現在スプリットワクチンとして利用されている株と同じものをラベルしており、最終的には4株のTI抗原mixtureを完成させることにしている。申請書に記載の通り、ウイルス表面へのTGDKラベル化法には、click chemistryを用いて行った。ラベル化に伴うHA分子量の上昇は、SDS-PAGEおよびwestern blot analysisによって確認できた。最終的には、TGDKを結合させるためのプローブを反応させる時間の最終調整が必要である。2)次に、調製したTI抗原のM細胞を介したトランスサイトーシス効率を評価したところ、in vitro M細胞モデルでトランスサイトーシス効率が上昇することを確認した。現時点で、ウイルス粒子に対して、どれくらいのTGDKをラベルするのが良いのかを確認しなければならないと考えている。また、予想されていたことであるが、ウイルス株ごとでラベル効率が異なると思われ、それはHAの糖鎖修飾に依存していると予想している。3,4)次に、10-HDAAにより鼻粘膜面にM細胞を誘導させるメカニズムとアジュバントとしての効果は、論文を現在revise中でまもなく再投稿できる予定。5)最後に、10-HDAA誘導体を含め、新たな天然物由来M細胞分化誘導因子を探索する研究に関しては、評価用NanoLucベクターが完成し、現在評価用細胞の調製を行い、クローニングを進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に論文投稿まで進められた。今年度進めるメインのin vivo試験の準備を早急に進めているが、新型コロナウイルス感染症の対応等により、大学内の研究に影響が出始めており、また試薬や研究用の備品の調達が遅れ始めているために、大幅な研究計画にならないかと危惧するばかりである。今の所は、試薬をうまく使って計画通りに進めているが、海外の試薬の到着が目立ち始めている。
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今後の研究の推進方策 |
今の所、本年度後期にin vivo試験をできる体制が整うことを見越して、TGDK標識インフルエンザウイルス(TI抗原)の調製を進めている。5つのプロジェクトに関するガントチャートを作成して、計画の管理を行っているが、大学の研究自粛要請が強化されてしまう前に、進められる内容を早急に進めておく方策をとることにした。状況が日々変化するため、具体的に推進方策を設定することが難しい。
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