多細胞生物の上皮組織は損傷を修復し再生することができる。このような組織修復には、細胞同士の相互作用だけでなく組織同士のコミュニケーションも重要であるものの、その時空間制御メカニズムにはいまだ不明な点が多い。本研究は、ショウジョウバエ上皮である翅原基をモデルとして組織傷害に対する生体内の細胞間・組織間の相互作用による組織修復メカニズムの理解を目指したものである。その結果、組織傷害によって生じた細胞死が周囲の細胞や空間的に離れた組織にも伝播し、この細胞死の時空間伝播により組織修復が円滑に進行し、時間軸に沿った上皮形態の再形成が達成されることが分かった。
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