研究実績の概要 |
ワクチンは人類を感染症の脅威から守る優れた医療戦略であるが、副作用がより少なく安心して使用できる次世代のワクチン開発が切望されている。 本研究では「アジュバントを使用しないワクチン」の実現可能性を視野に入れ、リンパ節濾胞樹状細胞(FDC)の機能増強に関わる細胞および分子レベルの新知見 の取得を目的とする。具体的には、(1)FDC分化経路、(2)FDC分化に関わる細胞ネットワーク、(3)FDC分化誘導因子の同定を目指す。 本年度はRANKLの時期特異的レポーターを樹立し、Marginal Reticular Cell (MRC)がFDCの前駆細胞になりうることを突き止めた。また、ILC3を時期特異的に除去可能な新規マウス系統の作出にも成功し、FDC分化におけるILC3の機能を解明する準備を整えることができた。さらに、FDCやMRCの前駆細胞となる胎児期のストローマ細胞の同定にも成功し、第31回日本生体防御学会学術集会および第58回日本生物物理学会年会において成果を口頭発表した。 一方、関節リウマチ骨破壊にはRANKLを発現する形質細胞が重要な役割を果たすこと(Komatsu, JCI, 2021)も明らかにした。さらに、東京大学との共同研究によって胸腺髄質においてT細胞の負の選択に関わる新規ストローマ細胞の同定に成功した(Nitta, Nat Immunol.,2020)。
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