研究課題
基盤研究(B)
脳疾患に罹患すると様々な症状があらわれる。症状は重篤であり、自然に回復することも難しい。症状の自然回復が困難な理由のひとつに、病態で傷ついた神経組織が自然に修復しないことが挙げられる。特に、症状の改善につながると期待される神経回路の修復は難しく、そのメカニズムの解明に立脚した治療薬の開発が待ち望まれている。本研究では、神経回路の修復のメカニズムについての解明を行った。
神経科学
神経回路の修復のメカニズムは未だ不明な点が多いが、本研究を通じて、神経回路の修復機構の一端を解明した。特に、様々な疾患で共有して認められるミエリンの脱落に対して、修復を促進させる機序を見出した。さらに、その機序は発生期のミエリン修復に対しても有効であることを、国際共同研究により報告した。得られた知見は、発生期および成体における神経回路の修復の共通点を示すものであり、生涯にわたる脳機能の改善のメカニズムの理解にも展開する可能性を秘めている。