研究課題
慢性透析患者における入院時の機能状態および肥満度と死亡率との関連について(全国規模の観察コホート研究):慢性腎臓病(CKD)は、透析導入前後、特に高齢者において日常生活動作(ADL)に大きな影響を及ぼす。しかし、入院時の機能状態が透析患者の転帰に及ぼす影響については十分に理解されていない。そこで、日本における全入院患者を対象として通常測定されるADL障害数が透析患者の入院転帰に及ぼす影響を検討した。入院管理請求データベースを用いて、2012年から2014年にかけて65歳以上の慢性透析を受けた患者104,557例の入院を対象とした。主要アウトカムは院内全死因死亡率(ロジスティック回帰モデルを用いて評価)、副次アウトカムは在院日数と医療費とした。その結果、参加者の平均年齢は74.0±6.2歳、平均体格指数(BMI)は21.8±3.9であった。参加者の31%が、入院時においてADLの基本5項目(食事、移乗、排泄、着替え、入浴)のうち1つ以上の介助を必要とし、3.5%(n=3,701)が入院後に死亡した。交絡因子を調整した後、ADL障害が1、2、3、4、5個の場合の死亡のオッズ比(OR)(95%信頼区間)は、完全自立に対してそれぞれ1.43(1.19-1.70)、2.04(1.71-2.45)、2.58(2.19-3.04)、3.74(3.35-4.17)、6.83(6.29-7.41)であった。ADL障害の数の増加は、より長い入院期間と費用とも関連していた。年齢、入院時の機能状態、BMIによるリスク層別化では、75歳以上の痩せた患者で重度のADL障害がある場合、75歳未満でBMIが中程度で入院時にADL障害がない場合と比較して、最大リスクが15.5高いことが示された。以上より、入院時の機能状態の低下は、院内死亡率、入院期間、コストを有意に増加させることが示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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