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2019 年度 実績報告書

造血幹細胞からTリンパ球への分化における発生段階特異的なNotchシグナルの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03692
研究機関東海大学

研究代表者

細川 裕之  東海大学, 医学部, 特任講師 (60431756)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードNotchシグナル / T細胞初期分化 / 細胞の運命決定 / 転写因子ネットワーク / 発生段階特異的 / プロテオミクス解析
研究実績の概要

造血幹細胞からTリンパ球への分化には、胸腺微小環境からのNotchシグナルが必須である。胸腺移入直後の 初期ProT細胞において、Notchシグナルは転写因子Tcf7やGATA3、Bcl11bの発現を誘導することで、T前駆細胞の持つB細胞や自然リンパ球やミエロイド系列への分化能を排除し、T細胞への運命を決定づける。T細胞への運命決定がなされた後期ProT細胞では、Rag1やRag2といったT細胞受容体の遺伝子再構成に関わる遺伝子群の発現がNotchシグナル依存的に誘導される。しかし、初期ProT細胞でNotch依存的にコントロールされていたTcf7やGATA3、Bcl11bはNotchシグナル非依存的に発現が維持される。そこで、本研究では、Notchシグナルがどのように発生段階特異的な機能を発揮するのか、T細胞初期分化をモデルとし、その分子メカニズムを明らかにする事を目的とする。
昨年度はCrispr/Cas9システムによりステージ特異的なNotchノックアウトProT細胞のRNA-seq解析を行い、多くの発生段階特異的なNotchターゲット遺伝子を同定した。さらに、Notchシグナルが発生段階特異的にターゲット遺伝子を制御するメカニズムとして、ステージ特異的な転写因子と会合している可能性が考えられる。そこで、Notch1-ICにMycおよびFlagタグを付加したレトロウイルス発現ベクターを作製し、Notch1-IC 会合分子のプロテオミクス解析を行い、昨年度はDN3細胞株を用いてNotch複合体の網羅的同定に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は、当初の計画通り細胞株を用いたDN3ステージにおけるNotch IC会合分子のプロテオミクス解析を行い、良好な結果を得た。さらに、これまで初代培養株では困難であったNotch ICのクロマチン免疫沈降解析について、2つのモノクローナル抗体を混ぜて使うことで、実験系の確立に成功した。さらに、Notchファミリー分子を発生段階特異的にノックアウトすることで、発生段階特異的なNotchターゲット遺伝子を多数同定した。

今後の研究の推進方策

(A), 発生段階特異的にNotch1-ICに結合する分子群のプロテオミクス解析;Notchシグナルが発生段階特異的にターゲット遺伝子を制御するメカニズムとして、ステージ特異的な転写因子と会合している可能性が考えられる。そこで、Notch1-ICにMycおよびFlagタグを付加したレトロウイルス発現ベクターを作製し、Notch1-IC 会合分子のプロテオミクス解析を行う。昨年度DN3細胞株を用いてNotch複合体の網羅的同定に成功した。本年度は初代培養細胞を用いて、DN1/2a細胞、DN3細胞を用いてステージ特異的なNotch複合体構成分子の網羅的同定を目指す。
(B), ステージ特異的にNotch1-ICおよびRbpjの結合している遺伝子領域の同定;Notch-ICやRbpjに対するクロマチン免疫沈降 (ChIP)解析は抗体のqualityが原因で困難であったが、我々は細胞のクロスリンクの条件と、複数のモノクローナル抗体を混ぜて使用することで、ProT細胞におけるRbpjのChIPシークエンス解析を行うことに成功した。昨年度は、Notch-ICに対するChIP解析法の確立に成功した。本年度はduplicate以上でNotch-ICのChIP-seq解析を行い、reproducibleなNotch-IC会合領域を同定する。
(C), ステージ特異的にNotch1シグナルによって発現制御される遺伝子群の同定;昨年度、Crispr/Cas9システムによりステージ特異的なNotchノックアウトProT細胞のRNA-seq解析を行い、多くの発生段階特異的なNotchターゲット遺伝子を同定した。本年度は、これらの結果を論文にまとめ発表することを目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] カリフォルニア工科大学 生物学部門(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      カリフォルニア工科大学 生物学部門
  • [雑誌論文] Cell type specific actions of Bcl11b in early T-lineage and group 2 innate lymphoid cells2020

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Hosokawa, Maile Romero-Wolf, Qi Yang, Yasutaka Motomura, Ditsa Levanon, Yoram Groner, Kazuyo Moro, Tomoaki Tanaka, and Ellen V. Rothenberg
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 217 ページ: e20190972

    • DOI

      10.1084/jem.20190972

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 初期T 細胞分化におけるPU.1 発現抑制メカニズムの解析2019

    • 著者名/発表者名
      細川裕之
    • 学会等名
      Kyoto T Cell Conference
  • [学会発表] GATA3 and Runx1 repress PU.1 expression in early T cell development2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Hosokawa, Ellen Rothenberg
    • 学会等名
      FASEB 'The Molecular Mechanisms of Immune Cell Development and Function Coference'
    • 国際学会
  • [学会発表] T細胞の初期発生において転写因子PU.1はコファクターを再配置することにより遺伝子発現を制御する2019

    • 著者名/発表者名
      細川裕之
    • 学会等名
      日本分子生物学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] GATA3 and Runx1 repress PU.1 expression in early T cell development2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Hosokawa, Katsuto Hozumi, Ellen Rothenberg
    • 学会等名
      日本免疫学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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