研究実績の概要 |
本研究では患者が自宅など希望する場所で活用できるモバイル電子端末を利用した質問促進・意思決定支援と、電話での遠隔支援を含んだ介入の検証試験を実施することで、将来の社会実装を見据え、医療者の負担軽減や、人的資材の不足に対応した介入プログラム開発を目指す。昨年度までに文献レビューと介入開発、予備試験を実施した。 介入プログラムに含まれるのは45の質問項目と自由記載欄から構成される質問促進リスト、Good Death Inventoryの18要素を選択肢に含む価値観や意向の整理、および意向に一致した終末期ケアの概念図<Halpern(NEJM, 2019)>により作成された治療やケアの目標設定である。介入手順書は、がん患者と主治医における悪いニュースを伝える際のコミュニケーションの枠組みであるSHAREプロトコルおよび、アドバンスケアプランニングの研究にもとづくRespecting Choice Model (Johnson et al, Br J Cancer, 2018), Hope for the best and prepare for the worstを提唱した論文 (Back et al, Ann Intern Med, 2003) など海外先行研究を参考に作成した。介入の質を維持するため、定期的な介入者間のミーティングで専門家のスーパービジョンを受けた。 本年度は予定通り症例集積を完了し、予定した介入は2023年1月にすべて終了した。介入対象者は132名であった。介入は、精神科医、公認心理師、看護師により提供された。介入は電話もしくは対面での面談により実施され、平均介入時間は35分程度であった。介入プログラムへの対象者評価などの詳細な解析は2023年8月のフォローアップ調査の完了を待って公表予定である。
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