外傷性脳損傷は受傷後に増悪する場合があり、重症化機序の解明は患者の後遺症低減や救命につながる。ヒト剖検例の解析では、交通事故損傷の特徴を明らかにすると共に、受傷直後の急死例では、飲酒酩酊に加え、頭頂部の打撲が受傷直後の心停止の要因であることが判明し、頭部打撲によって心停止を来た人にはその場に居合わせた人による心肺蘇生が重要と考えられた。外傷性脳損傷のモデルマウスを用いた解析では、外傷性脳損傷の増悪に細胞老化が関係していることが判明し、また、脳損傷の増悪機序に受傷後のDNA損傷が関係していることが示唆され、受傷後の脳内でのDNAの持続的損傷の抑制は脳損傷の低減につながると考えられた。
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