研究課題/領域番号 |
19H03935
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
片岡 純 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70259307)
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研究分担者 |
尾沼 奈緒美 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (00295627)
吉田 彩 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10440249)
百瀬 由美子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (20262735)
近藤 三由希 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (20805676)
森本 悦子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60305670)
広瀬 会里 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (90269514)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / がん / 薬物療法 / 看護実践能力 / 看護師 |
研究実績の概要 |
2020年度は、がん薬物療法を受ける高齢がん患者の質の高い療養生活を支援するために、看護師が獲得する必要がある看護実践能力と教育プログラムで重視すべき内容を明確にすることを目的に、デルファイ法による質問紙調査を行った。 デルファイ法による調査に先立ち、13名の対象者(専門看護師5名、がん化学療法看護認定看護師8名)に、がん薬物療法を受ける高齢がん患者の質高い療養生活を支援するために看護師が獲得する必要がある看護実践能力について面接調査を行った。得られたデータを内容分析を用いて分析した結果、4分類、33カテゴリ、79サブカテゴリからなる看護実践能力を明らかにした。サブカテゴリに着目し、表現や抽象度を検討し、デルファイ法による質問紙調査の調査内容として64項目からなる看護実践能力の項目を作成した。抽出した64項目の看護実践能力について、薬物療法を受ける高齢がん患者の質の高い療養生活を支援するために看護師が獲得する必要がある看護実践能力として合意が得られるかを、適切性、重要性、実施可能性、難易度の4つの視点について、4段階のリカート尺度で評価を行う質問紙調査を行った。専門看護師・がん化学療法看護認定看護師計495名に質問紙を配布し、131名から回答を得た。今後は1回目の調査結果を基に質問紙を修正し、2回目の調査協力同意が得られた103名を対象に2回目の調査を行う予定である。 また、看護実践能力を獲得するために必要な教育内容の抽出を目的として、PubMedならびにCINAHLをデータベースとした系統的文献検索を行った。文献検索の結果、がん薬物療法を受ける高齢がん患者の看護に関する観察研究及び介入研究は未だ十分には行われてないことが明らかとなり、高齢者の総合的機能の特徴と個別性を踏まえた高度な病態判断力と臨床推論力を育むための知識を、ガイドラインや書籍等で抽出することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は専門看護師ならびに認定看護師を対象としたデルファイ法による質問紙調査を実施したが、COVID-19の第3波が収まるまで調査の実施を見合わせた。そのため、調査開始が遅くなり、当初のスケジュールから進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2回目の調査協力同意が得られた103名に質問紙を配布する。1回目の質問紙調査結果の分析は、対象者のコンセンサスが得られたと判断する基準を80%とする。適切性・重要性の項目で「4」「3」の回答が80%以上得られた看護実践能力を2回目の質問紙調査の調査項目とする。また、1回目の調査の記述欄で、追加が必要と指摘された看護実践能力について研究者間で検討し、必要と判断した場合は2回目の調査項目とする。2回目も1回目と同様の評価・分析方法とする。適切性、重要性の評価で「4」「3」の回答が80%以上得られ、実施可能性、難易度の評価で80%を得られない項目は、獲得すべき看護実践能力であるが、実施や獲得が難しい能力ととらえることができるので、教育プログラムで重視すべき内容として取り扱う。 デルファイ法で明確にした看護実践能力を獲得するためのプログラムを作成する。プログラムは、獲得が必要な看護実践能力ごとにサブプログラムを構成する。サブプログラムは、①学修目標(獲得すべき看護実践能力)、②到達目標(看護実践能力を構成する具体的実践能力)、③学習内容として、看護実践能力獲得に必要な知識(講義)、看護実践能力獲得に必要な演習、学んだ内容を臨床実践の中で展開する実習で組み立てる。学習内容には、第2段階で抽出した教育内容を含める。また評価用のチェックリストを作成する。評価項目は、①病態判断力と臨床推論力を育むための知識(認知領域)、②看護実践能力(精神運動領域)、③がん看護に対するモチベーション(情意領域)に関するチェックリストを用いた学修者の自己評価、および演習や実習の目標到達度に関するプログラム提供者による他者評価とする。さらにプログラムの運用方法の手順も作成する。 作成したプログラムの妥当性と実現可能性について、専門家会議で検討する。
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