双生児のエピゲノム情報と臨床検査値に基づいた、生活習慣病に影響する環境因子の解明

2019 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19H04048
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 渡邉 幹夫 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50294088)
• 研究分担者: 竹中 要一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (00324830)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: エピゲノム / 双生児 / 臨床検査 / 生活習慣病

研究実績の概要

① 表現型不一致双生児・一致双生児の同定（並びに継続サンプリング）：臨床検査値を表現型として、一卵性双生児の継続サンプリングを行い、生体試料と疫学データをさらに蓄積した。大阪大学ツインリサーチセンターにおえるサンプリングと併せて、双生児サンプルは500組1000名を超え、経時的なサンプリング実績も50組程度となった。また臨床検査値の標準化を行うとともに、タイピングしたSNPデータのQuality ControlおよびImputationを行い、タイピングキットのロット間差等のコントロールを行った。さらに、DNAメチル化アレイデータのQuality Controlも行うとともにアノテーション情報を追加した。
② 不一致双生児特異的な遺伝背景の同定：既報の臨床検査値の遺伝因子モデルを用いて、各々の一卵性双生児の臨床検査値の標準化された遺伝的予測値を算出した。臨床検査値は50項目程度について予測値の算出が可能であった。これらをGeneticRiskScoreとし、臨床検査値への遺伝要因寄与率を反映するものとして個体ごとに同定を終えた。
③ エピゲノム情報（DNAメチル化）の比較：臨床検査値の実測値と予測値の乖離を調べ、それぞれの個体における環境要因の寄与度を解析した。本解析に関しては、日本臨床化学会、日本双生児研究学会等で成果発表を行った。
さらに一卵性双生児において、ペアの二人における環境要因の寄与度の相違を、それぞれの個体のメチル化率の相違として関連付けるための解析を行った。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

代表的な臨床検査値について遺伝要因寄与度と環境要因寄与度を網羅的に同定でき、エピゲノム変化との関連を解析する準備が整った。

今後の研究の推進方策

臨床検査値への環境要因寄与度と双生児のペア内差とDNAメチル化との関連を解析し、併せて個体の生活習慣等がそれらに影響している可能性を模索する。

研究成果

• [国際共同研究] ヘルシンキ大学(フィンランド)
  • 国名: フィンランド
  • 外国機関名: ヘルシンキ大学
• [国際共同研究] センメルヴェイス大学(ハンガリー)
  • 国名: ハンガリー
  • 外国機関名: センメルヴェイス大学
• [雑誌論文] Enhanced processivity of Dnmt1 by mono-ubiquitinated histone H3 (2020)
  • 著者名/発表者名: Mishima, Y., Brueckner, L., Takahashi, S., Kawakami, T., Otani, J., Shinohara, A., Takeshita, K., Garvilles, R., Watanabe, M., Sakai, N., Takeshima, H., Nachtegael, C., Nishiyama, A., Nakanishi, M., Arita, K., Nakashima, K., Hojo, H., Suetake, I.
  • 雑誌名: Genes to Cells 巻: 25 ページ: 22-32
  • DOI: 10.1111/gtc.12732
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Association of IL6 gene methylation in peripheral blood cells with the development and prognosis of autoimmune thyroid diseases (2019)
  • 著者名/発表者名: Hirai, N., Watanabe, M., Inoue, N., Kishonita, R., Ohtani, H., Hidaka, Y,. Iwatani, Y.
  • 雑誌名: Autoimmunity 巻: 52 ページ: 251-255
  • DOI: 10.1080/08916934.2019.1669568
  • 査読あり
• [雑誌論文] The CODATwins Project: The Current Status and Recent Findings of COllaborative Project of Development of Anthropometrical Measures in Twins (2019)
  • 著者名/発表者名: Silventoinen K, Jelenkovic A, et al
  • 雑誌名: Twin Res Hum Genet 巻: 21 ページ: 1-9
  • DOI: 10.1017/thg.2019.35
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Update on Osaka University Twin Registry: An Overview of Multidisciplinary Research Resources and Biobank at Osaka University Center for Twin Research. (2019)
  • 著者名/発表者名: Honda, C., Watanabe, M., Tomizawa, R., Osaka Twin Research Group, Sakai, N.
  • 雑誌名: Twin Res Hum Genet 巻: 22 ページ: 597-601
  • DOI: 10.1017/thg.2019.70
  • 査読あり
• [雑誌論文] Association of IFNG gene methylation in peripheral blood cells with the development and prognosis of autoimmune thyroid disease (2019)
  • 著者名/発表者名: Hashimoto, H. Watanabe, M., Inoue, N., Hirai, N., Haga, E., Kinoshita, R., Hidaka, Y., Iwatani, Y.
  • 雑誌名: Cytokine 巻: 123 ページ: 154770
  • DOI: 10.1016/j.cyto.2019.154770
  • 査読あり
• [学会発表] Genetic contribution to inter-individual differences in human natural audio-visual experiences (2019)
  • 著者名/発表者名: Toyoda, S., Nishida, S., Honda, C., Watanabe, M., Ollikainen, M., Vuoksimaa, E., Kaprio, J., Osaka Twin Research Group, Nishimoto, S.
  • 学会等名: 3rd Nordic Neuroscience meeting
  • 国際学会
• [学会発表] Alterations In The Internal Structure of Platelets Contribute To Morphological Abnormalities Such As DegranulatedAnd Giant Platelets In MDS Patients. (2019)
  • 著者名/発表者名: Masutani, R., Yamazaki, I., Tanada, H., Kubota, M., Watanabe, M., Okada, Y., Osaka N.
  • 学会等名: The 57th congress of the Korean Association of Medical Technologists & International Conference
  • 国際学会
• [学会発表] Genotype-based Epigenetic Differences within Twin Pair (2019)
  • 著者名/発表者名: Watanabe, M
  • 学会等名: The 3rd Osaka University International Twin Research Symposium
  • 国際学会
• [学会発表] 日本人GWASによる臨床検査値予測モデルの一卵性双生児を用いた検証 (2019)
  • 著者名/発表者名: 谷口純平、渡邉幹夫、増田達郎、岩谷良則、大阪ツインリサーチグループ、岡田随象
  • 学会等名: 日本双生児研究学会第34回学術講演会
• [学会発表] 一卵性双生児を対象とした日本人GWASによる臨床検査値予測モデルの検証 (2019)
  • 著者名/発表者名: 谷口純平、渡邉幹夫、増田達郎、岩谷良則、大阪ツインリサーチグループ、岡田随象
  • 学会等名: 第59回日本臨床化学会年次学術集会