研究課題/領域番号 |
19H04094
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡部 寿男 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (20204018)
|
研究分担者 |
中村 素典 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (30268156)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Intent-Based Networking / SDN / 人工知能 / ネットワーク最適化 |
研究実績の概要 |
大規模なネットワークの設定を行う際に、各機器がどのような(How)動作をするかではなく ネットワークに何(What)を行わせようとしているかを高い抽象度の「意図」(intent)として記述し、コントローラがそれに従って各機器の設定(configuration)を自動的に生成することで管理者の負担を軽減する、Intent-Based Networkingが期待されている。しかしながら管理者の意図はしばしば曖昧で矛盾を含み、かつ暗黙の前提もある。そこで、管理者がネットワークの設計や運用において行っている判断を人工知能に学習させ、明示的に記述されていない諸要件のトレードオフや暗黙の制約条件を学習データとして抽出し、システムに組み込めるようにすることで、管理者の経験と勘が頼りと言われがちな大規模ネットワークの設計と運用、管理を真に自動化し、管理者の負担を軽減する技術を研究開発し、システムとして実装して、有効性を評価するのが本研究の目的である。 初年度は、管理者がネットワーク運用において行っている判断を人工知能(AI)に学習させ、明示的に記述されていない諸要件のトレードオフや暗黙の制約条件をルールとして抽出することを目指して、ファイアウォールで指定されているAccess Control List(ACL)を、管理者が暗黙の前提や知識としているルールを学習し抽出する立場で最適化することに取り組んだ。具体的には、既存ルールのポリシーを厳密に反映するの手法ではなく, 非効率なルールや冗長なルールを大きく削減することを目的とし, ACL によって通過・拒否されたトラフィックのデータから, トラフィック傾向に基づいたルールリストを一から再構築する手法を提案し、実装、評価した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従前は管理者/運用者の知識と経験に頼らざるを得なかったネットワーク運用上の高度な判断を、AIが代替できるようにする考えを実現するシステムの設計に向けて、具体的なアーキテクチャやその実装の方法の検討を進め、Graph networkを使用した機械学習による、トポロジー変化に対応できるルーティング最適化に取り組むとともに、管理者が暗黙の前提や知識としているルールを設定そのものではなくそれよるトラフィックのデータから再構築するという課題に取り組み成果を挙げている。
|
今後の研究の推進方策 |
最上位の意図(Intent)レベルは、管理者とのインターフェースとなる要でありかつ新たに設計が必要であることから、引き続きネットワークの運用管理の熟練者の経験と知識を結集して進める。それに基づいて提案のコンセプトを示すことができるシステムのプロトタイプを設計・実装する。
|