研究課題/領域番号 |
19H04160
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮田 章裕 日本大学, 文理学部, 教授 (20648802)
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研究分担者 |
村山 優子 津田塾大学, 数学・計算機科学研究所, 研究員 (20264955)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バリアフリー / 障がい者 / Deep learning / バーチャルリアリティ / ゲーミフィケーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,高精度・広範囲のバリア情報を収集するためのA:バリア情報入力,B:バリア情報分析,C:バリア情報出力について,学術的・実用的価値が高い方式を実現することである。AはA-1:ボランティア方式,A-2:歩行者方式,A-3:ゲーミフィケーション方式,BはB-1:Deep Learning方式,CはC-1:ヒートマップ方式,C-2:VR方式に細分化される。本年度は5ヶ年計画の3年目にあたる。 本年度は,ここまでに別々のアプリケーションとして作成したA-1,A-2,A-3を,1つの統合アプリケーションとしてまとめる計画であり,これを予定通り達成することができた。具体的には,バリアフリーマップ構築のためのバリア情報収集プラットフォームと,このプラットフォームにバリア情報をアップロードするためのAndroidアプリケーションを開発した。Androidアプリケーションには,A-1を実現するReporterモード,A-1とA-3を組み合わせたGaming reporterモード,A-2を実現するWalkerモード,A-2とA-3を組み合わせたGaming walkerモードを実装した。 B-1については昨年度完了していたが,技術検討を進めた結果,1次元の畳み込みニューラルネットワークを用いた方が性能が向上することが分かり,当該ネットワークを採用するためのシステム改良を実施した。 C-1については学会発表・ワークショップ等を通してフィードバックを収集し,歩行難易度を緑(通りやすい)ー赤(通りにくい)の色表現を用いることが適切であるという結論を得た。C-2については,計画通り,前後方向だけでなく左右方向の傾斜を実現するシミュレーションの基礎検討を推進した。 上記について,査読付国際会議3件採択,査読付国内会議1件採択,査読無国際会議1件発表,査読無国内会議5件発表等の学術成果を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要のとおり,本年度に計画していた作業の大半は計画通りに実施でき,社会情勢の影響で計画通りにならなかった作業についても代わりに別の作業を推進する等の工夫を行い,本研究課題全体が遅滞する事態の回避に努めた。 学術発表については,現地での開発・検証ができない期間を学術論文執筆に充てたため,当初計画を大きく上回る結果となった。特に,昨年度に続いて2年連続でヒューマンコンピュータインタラクション分野におけるトップ国際会議であるACM CHIのLate-Breaking Workセッションに採択されたことは,当該分野における貢献・認知度向上を実現できたものと考える。 さらに,2年前から継続して主催した第3回目のワークショップでは,国内アクセシビリティ研究の第一人者を講演者として招待し,新たな研究協力体制の基礎固めを行った。この協力体制は,次年度以降の成果創出の礎となることが期待できる。 上記をふまえ,現在までの進捗状況はおおむね順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
依然として国内外の感染拡大の収束が見えない状況であるが,当初計画通りに推進することを原則とし,必要に応じて作業順番の変更等を行う工夫を行い,研究課題全体への影響を最小限に留めるよう最大限努力する。 特に今年度は,提案手法の有効性を検証するためのフィールド実験を予定しているため,感染対策に最大限配慮しつつ,十分な実験参加者数・期間で実験が実施できるよう,計画的に各種準備・調整を行う。市中の感染状況が急激に悪化する等の不測の事態にも極力対応できるよう,複数のバックアッププランも用意する。 産学の各ステークホルダーとの対話も継続し,提案手法が社会のニーズに沿うものになるよう意識しつつ,スピード感を持ってプロトタイプシステムを公開できるよう研究を加速する予定である。
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