研究課題
毎年50万トンを超える廃プラスチックが海洋に蓄積を続けており、分解されないプラスチックによる汚染、とりわけ回収不可能なマイクロプラスチックによる生 態系への影響が懸念されている。現在、推定で少なくとも2500万トンの廃プラスチックが海洋に蓄積しているはずだが、実際に海表面に浮遊するプラスチック量 はわずか数百万トンにすぎない(全体の約10%)。残りの約90%が海表から失われ行方不明となっている(=The Missing Plastics)。おそらく大部分は深海に沈んでい ると予想されている。本課題は、The Missing Plasticsの行方を求めて、アジア諸国から大量のプラスチックごみが流れ込み集積する日本周辺の深海底において、プラスチックごみがどこにどのくらい蓄積しているか、その分布と量を明らかにし、The Missing Plasticsの謎に答える一助とする。当該年度は、ごみの集積の多いと推測される東京湾海底谷付近の海域おいてプラスチックごみの調査を実施した。具体的には、海洋研究開発機構で実施する調査航海において有人潜水調査船「しんかい6500」を用いて、東京湾海底谷の出口付近の海域(三崎沖、水深約600m)において海底の画像撮影を行い、映像に映るポリ袋やペットボトル等の比較的大きなマクロプラスチックごみの計数・同定を行った。航調査がなされた深海底の映像データについて、(1)その映像に映る海底面積 (km2)を深海探査機の走行距離・探査機の高度(m)・映像視野から求め、(2)潜航調査あたりのプラスチックごみの計数およびサイズ計測を行った。
2: おおむね順調に進展している
予定通り調査航海を実施し、海底プラスチックごみの映像を取得できたため。
令和5年度に東京湾海底谷付近の海域を含む相模湾海底のプラスチックごみ調査(映像取得)を継続する。
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