研究課題/領域番号 |
19H04332
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐藤 一光 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (40726866)
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研究分担者 |
斉藤 崇 杏林大学, 総合政策学部, 教授 (50424213)
吉弘 憲介 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (50537628)
徐 一睿 専修大学, 経済学部, 准教授 (50579331)
山川 俊和 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70572395)
澤田 英司 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (70458925)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 木質バイオマス / 再生可能エネルギー / 空間経済学 / 地域経済 / 林業 / 木材バリューチェーン / 地域間再分配 / マネーフロー |
研究実績の概要 |
本研究の実績概要は以下のとおりである。 研究の進捗状況は当初の予定よりも早いスピードで進捗している。先行研究の整理については概ね完了しており、国内外の研究動向を把握できている。もっとも、本研究の学際的な性格によって同一の問題意識による研究は見当たらず、投稿先の選定には難しさがあることが分かった。 学会報告として、8月に開催された東アジア環境資源経済学会(北京)においてセッションを企画し、佐藤報告、吉弘報告、斉藤報告によって研究成果が議論された。再エネ普及政策と木質バイオマス経済について、中国の研究者も交えて研究交流を図ることができた。9月に開催された環境経済・政策学会において企画セッションに参画し、佐藤・斉藤・吉弘・山川・徐・澤田による共同の調査・研究について報告を行った。報告論文は「アルテスリベラレス」に投稿され、公開されている。10月に開催された日本財政学会において、セッションを企画し、佐藤報告によって現代的貨幣理論の検討を行った。報告論文は「財政研究」に投稿され、査読を通過して掲載が決定している。 調査・研究会として、岩手県における<木質バイオマス経済>の現状について、全員参加で2回、部分参加で5回のヒアリング調査を行い、県内の木質バイオマスのエネルギー利用業者及び林業事業体や木材産業への調査を進めた。中国における再生可能エネルギー政策の現状について、全員参加で1回、部分参加で3回の調査を行い、再エネ政策の現状について確認することができた。研究会としては福岡で1回、岩手で1回開催し、研究の進捗について意見交換を行った。もっとも、新型コロナの影響で予定していた外部からの意見聴取と追加で企画したドイツ調査は行うことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は当初の計画以上に進展している。当初の研究計画では平成31年度には先行研究の整理を行い、中国側の研究者との研究交流を図る予定であったが、先行研究だけでなく経済理論、空間分析の地図を用いた応用、政策論的なマネーフロー分析について雛形を示すことができた。実証的には岩手県の事例に焦点を当てて分析を進めたため、研究交流においては中国との地理的な違い、政策的な違いの大きさについて議論を交わすことができた。経済理論とその応用については概ね予想通りの研究結果を得ることができたが、新たに研究協力者として迎えた澤田氏によって、林業の伐採サイクルまで考慮したシミュレーション分析の可能性が開け、当初の予定以上の速度で研究成果が得られそうである。さらに、政策論の分析過程でマネーフロー分析の理論的・方法論的発展が見られ、当初の予定を大きく超えた社会科学的な知見が得られる見込みが立っている。 実地調査については、岩手県内の小規模バイオマス発電所、大規模バイオマス発電所、熱利用事業体、木材加工業、林業事業体、林業研究者にヒアリング調査を行うことができ、ほぼ網羅的に<木質バイオマス経済>の岩手県の状況について把握することができた。岩手県以外にも数件の調査を行うことができたが、<木質バイオマス経済>の把握については、単に再エネ事業体について理解すれば良いわけではなく、木材バリューチェーン全体を調査しなければ全体像が見えてこないことも明らかになった。特に、国外から輸入される丸太、チップ、パーム椰子殻の影響が大きいことから、その産出国における調査の必要性が浮かび上がってきた。 中国における再エネ政策や<木質バイオマス経済>についての調査も進捗し、固定価格買取制度が他国の制度設計と大きく異なっていること、農林バイオマスは特に農村の貧困対策が大きな影響を持っていることなどが明らかになっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究の推進方策は次の通りである。徐々に得られてきた研究成果について、論文の形にして投稿をすることに注力する。学会報告については前倒しして進めることができているため、研究成果の公刊を重視する。研究成果の書籍化についても、執筆体制やスケジュールなどのロジスティクスや内容についても準備を進める。 さらに経済・財政モデルの地図シミュレーションについて、シナリオ分析ができるように準備を進める。他方で、予定していた国内と中国の実地調査については、新型コロナウィルスの影響で予定通りに進められないかもしれない。人の移動が制限されている中で、少人数での調査や実地調査の外部委託などを行ってなるべく予定通りに進めたいと考えているが、この点に関しては不透明である。特に、中国版の地図シミュレーションに必要なデータと実地調査の知見が不足しており、調査が進まないと予定通りに研究を進められない可能性も考えられる。 予定していた国際カンファレンスについては、オンラインで実地することを検討している。中国におけるデータや知見が不足しているため、国際カンファレンスを通じた研究交流には予定していた以上の大きな役割が期待される。これまでの研究成果の進捗が前倒しで進んでいたため、新型コロナウィルスの自粛によって大きな停滞を余儀なくされる状況を乗り越え、なるべく早く研究成果の取りまとめに入れるように準備を進めたいと考えている。
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