研究課題/領域番号 |
19H04350
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水野 広祐 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (30283659)
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研究分担者 |
Meutia AmiAminah 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (10623845)
亀田 尭宙 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (10751993)
大澤 隆将 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (40795499)
長谷川 拓也 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (50760534)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 土地所有権 / 泥炭地 / 慣習土地権 |
研究実績の概要 |
泥炭地の荒廃について本研究は、市場の失敗、政府の失敗および共同体の失敗の観点から分析した。すなわち、1990年代末に林業プランテーションが泥炭地開発を開始し、大規模な排水を実施して、産業造林権取得地の外側の泥炭の乾燥ももたらし特に乾期には産業造林地の下流地域は乾燥して火災が発生した。にも関わらずこの企業経営にともなう社会費用を当初は認識せず2009年頃までは泥炭火災を放置した。一方、政府は、火災が発生している土地が政府指定の森林地域であるにもかかわらず効果的な火災対策を取ることができなかった。さらに地域社会は、火災発生を防ぐよう政府や企業に要求する、ないし自ら対策するどころか、泥炭湿地林の樹木を伐採してマレーシアに輸出し、伐採の終わった土地を住民間で分割し、アブラヤシを栽培した。一方、2009年より住民防火組織であるMasyarakat Peduli Apiスタッフの給与の一部を企業が負担を開始した。2016年に泥炭地回復庁ができると、泥炭対策村(Desa Peduli Gambut)等のプログラムを開始し、泥炭湿地化Rewwetting)・パルディカルチュア(Revegitation)・生計回復(Revitalization of livelihood)の3Rプログラムを推進し、いろいろなプログラムが簡易ダムを建設した、JICAの泥炭地回復プログラムが2018年より開始され、2019年より企業と共同で水位モニタリングシステムを構築し、特に乾期の上流の企業ション内に貯蔵された水が下流の住民地域に放流されるようになった。住民の間では泥炭地の保全に対する意識が変わり、泥炭の防火を強く意識するようになった。これらの改善の結果、調査地における泥炭地火災の頻度が減少した。このような変化は、かつての市場・政府・共同体の失敗から転換し、おのおのが泥炭地をケアするようになった結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各地の泥炭地における農村調査および土地権調査を継続し、土地権権に関する仮説の検証を構築した。すなわち、泥炭地では政府指定の森林地域における政府による住民土地権に対する管理が弱く、住民は慣習法に従って土地権を獲得してきた、ただし、政府が産業植林権などを企業に与えた場合は住民は様々な方法で土地権を擁護しときには政府・軍隊・警察と対峙することもあった。このような、政府指定の森林地域においても実質的には慣習法が生きている現実はジャワ島とは大きく異なる。この仮説に対する各地における農村調査の結果はおおむねこの仮説を支持するものである。本年度は、研究会内外の委員による論文執筆を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
農村調査に基づく泥炭地の土地所有権研究についてさらに論考をすすめ、歴史委研究も進める。論文の執筆を進め、さらに英文校閲や出版の作業に入ってゆく。
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