研究課題/領域番号 |
19H04410
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
五十嵐 太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (40350988)
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研究分担者 |
田村 光平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60725274)
土岐 文乃 東北大学, 工学研究科, 助教 (70635573)
加藤 諭 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (90626300)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大学博物館 / 博物館学 / 地域資料 / 建築史 / 展示デザイン / キュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は、大学の博物館や地域資料を扱う博物館の国内外の事例を調査し、空間と展示のデザインという視点を織り込みながら、地域資料の展示公開モデルを探ることを目的としている。 そこでユニークな活動を展開する地方の学芸員やアーカイブ研究者(加藤幸治、藤井素彦、櫛野展正、中村覚ら)、ならびにすぐれた展示空間を構築するデザイナー(浅子佳英ら)を東北大に招聘しての研究会を開催し、討議と意見交換を行った。その結果、デジタル・アーカイブの先端的なとりくみのほか、限られた予算の中で、効果的に資料を活用する知見を数多く得ることができた。 あわせて研究メンバーは、東北大学の状況を分析するとともに、広島大学、京都大学、東京大学など、国内の大学、博物館、美術館を訪れ、現地調査やヒアリングを行った。特に広島大学は、まとまった大きな博物館をもたず、各専攻が所有する資料をネットワーク化しつつ、キャンパス全体を博物館に見立てる方式をとっており、東北大でも応用可能な興味深いモデルを示していた。 さらに9月は、大学博物館の長い歴史をもつイギリスに渡航し、グラスゴー、マンチェスター、ケンブリッジ、オックスフォード、ロンドンにおいて、数多くの事例を調査した。それぞれの博物館については展示空間と各種の展示物がどのような関係をもっているかを詳細に記録し、今後の資料として役立つよう図式化した。ただ漫然とモノを並べるのではなく、多様な展示手法、照明、サイン、グラフィックの工夫、アート作品の活用などは、今後、日本の大学博物館でも参考にすべきものである。 なお、東北大学の調査は学会などで発表され、イギリス調査の成果の一部は、2020年に刊行された書籍『ビルディングタイプ学入門』に収録されたほか、建築の視点から大学博物館の歴史をまとめた年表や重要な展示の事例は、東京ミッドタウンのデザインハブにおいて展示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の大学博物館については、初年度は研究メンバーとの人的なつながりから、いくつかの対象を選び、まずそれらの調査を終えた。海外については、毎年エリアを決めて展開する予定だが、初年度は大学博物館というビルディングタイプの歴史において最重要と考えられるイギリスの調査を遂行した。イギリスの地方都市では、街の中に大学博物館が点在している。いずれも今後の調査の基礎となる内容である。そして研究会を通じて、石巻市、新潟市、福山市、八戸市などの地方都市を拠点とする注目すべき展示活動の事例を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
国内については、北海道大学の博物館などを調査する予定である。海外については、現地において研究の協力が得られることから、オーストラリアの調査を検討している。研究会は、引き続き開催し、さらに国内外の事例を収集していく。ただし、今年度は新型コロナ・ウイルスの影響により、移動や集まりが制限されているため、当面はオンラインによる研究会を行いながら、これまでの資料を整理する。また国内外の現地調査は、年度の後半に実施することを考えているが、新型コロナ・ウイルスの影響が続く場合、計画の変更が必要になるかもしれない。
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