研究課題
基盤研究(B)
記憶と注意、特にワーキングメモリに着目し、健常人を対象としてその神経基盤を調べた。その結果、アルファ・ベータ波と呼ばれる 8- 30 Hz の神経律動信号が、視覚性ワーキングメモリの保持に深く関わることが分かった。具体的には、ワーキングメモリ内に保持する情報量や鮮明度に応じて、その律動リズム(振動の速さ)が変化することが分かった。また同じ帯域の律動信号は、言語性ワーキングメモリの保持にも関わることを発見した。
認知神経科学
従来はサルなどを対象に神経律動信号の振幅とワーキングメモリの関係を示した研究が多かった。対して、本研究はヒトを対象として律動信号の速さとワーキングメモリの関係を示した。またワーキングメモリは、会話・読書・計算など日常の様々な場面で用いられる重要な能力である。本研究はその神経基盤を明らかにすることで、将来的に考えられる様々な社会応用(記憶力の向上トレーニングやアンチエイジング療法など)への足掛かりを築いた。