研究課題
今回開発した機械学習での再構成法を用い、水チェレンコフ検出器の7つデザインにて性能を比較した。それぞれのデザインは光電子増倍管の間に入れる反射材の種類が異なる。再帰反射材の場合、元々光量の少なさ故に当初の見積もりと比べ性能改善が限定的だったが、光学測定を元に去年度からさらに実装を改良した現実的な振る舞いのものでは、性能改善が見られなくなった。別構成である擬似再帰反射材に関しては現実的な振る舞いにおいてもある程度の性能改善が見込めるという結果になった。入射角とともに増える非理想的な反射が複雑さが原因と考えられ、擬似再帰反射材はこの寄与を抑えられる可能性の観点でも優れている。太陽ニュートリノなどの低エネルギーに関しても後輩の学生が修士論文研究で調べ、反射光量を増やすことが課題であるものの、位置やエネルギー再構成が改善することが確認できた。これらの結果の論文を今後発表予定である。今年は大気・加速器ニュートリノの同時解析に力を入れ、振動確率計算、統計解析の各種改善、反応断面積モデル拡張とミスモデリング検出用の適合度検定の開発等行った。それぞれの実験データの整合性を検証したうえでレプトンCP破れ角と質量順序等に制限を与えた博士論文をまとめた。解析グループとしての結果発表に向け研究を続けている。また頻度主義的統計解析の高速化に関する二つ目の新手法を開発し、統計論文の投稿も準備している。コロナの影響もあり、主にソフトウェア中心の研究となったが、再帰反射材の応用は課題の理解が深まり、揺らぎを考慮した再構成は機械学習での開発を通して過去最高の性能をシミュレーション上で実現。また統計解析の新技術の開発にも至り、最終的に水チェレンコフを用いた二つの実験の解析からCPの破れやニュートリノ振動のより精密な測定ができた。水チェレンコフ技術から発展してより広分野への貢献も含めた実りある研究ができた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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