研究課題/領域番号 |
19K00072
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
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研究分担者 |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (20314073)
護山 真也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (60467199)
守岡 知彦 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (40324701)
白須 裕之 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (30828570)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 比較哲学 / 仏教論理学 / 因明 |
研究実績の概要 |
2021年度に計画していた国際ワークショップなど、コロナ禍による計画変更を余儀なくされた面もあるが、現代哲学・論理学との比較研究や、国内の研究者を中心としたネットワーク構築については一定の成果があったと考えている。 井筒俊彦の「言語アラヤ識」論に対する批判を出発点に、唯識思想における「言語」のあり方は、名詞(主語)的な分節ではなく動詞(述語)的な分節であり、それが事後的に名詞(主語)的なものとしてとらえられるプロセスを明らかにしたうえで、ヴィヴェイロス・デ・カストロらが提唱する多世界論などに接続し得る可能性を示唆した。このような多世界論的な世界観は、因明における「複数の信念を前提とした論理学」という性質にも関連すると考えられる。今後さらなる検討が必要であるが、今後の研究に向けた新しい視点を得るための見通しが得られたことは大きな成果であったと考えている。 また、この議論に関連して、現代哲学者との鼎談イベントも開催した。そこでは、人類学における「野生の思考」と、四句分別や空など、仏教における広義の「ロジック」との共通性が議論されるとともに、インド論理学に関する新たな解釈(第三項を見出すための技法)についても議論された。 このような仏教論理学の特性を、そのままただちに現代の諸問題の解決に活かすことはできないにせよ、異なる信念を持つ人々が対話を行うことが求められている現代において、有用な視点を提供し得るものとも考えられる。仏教論理学・認識論を哲学として賦活するための端緒が得られたのではないかと自己評価している。
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