研究課題/領域番号 |
19K00125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
山田 望 南山大学, 総合政策学部, 教授 (70279967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ペラギウス論争 / ペラギウス / ペラギウス派 / アウグスティヌス / ドナトゥス派 / 異端 / 東方神学 / 影響史 |
研究成果の概要 |
ペラギウス派神学は、東方神学におけるアンティオキア伝承の人間観を受け継いでいる。しかし神化思想の大枠においては、主流派たるオリゲネスからの影響も見られ(特にパウロ書簡注解)、神学実践では更に異なるバシレイオスからの影響も存在する。これは、相互影響・発達史的観点からすれば決して矛盾などではなく、オリゲネスが異端の嫌疑を受けて以降、ペラギウス派は、それに代わる東方思想としてアンティオキア伝承やバシレイオスらを範とべく思想的発展をきたしたと考えられる。他方、彼らを排斥したアウグスティヌス陣営にも、オリゲネスやペラギウス派への反発により、自由意志の否定や原罪論の提唱へと思想的先鋭化を来すようになった。
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自由記述の分野 |
思想史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、全く別個の神学論争として見なされていたオリゲネス論争、ドナトゥス論争、ペラギウス論争、そしてネストリオス論争といった古代教会史上の神学論争間の思想史的関連にとって、対立する陣営間の人脈関係を元に、その間に働いていた相互影響・発達史的観点に基づく新たな方法論の導入がきわめて有効に働いた。これらは本来別個の神学論争だったのではなく、各々の陣営がお互いに影響し合いながら自らの神学思想をより先鋭化されたものへと発展させていったことが明らかとなった。また、男性中心の論争の背後で、女性信徒による孤児救済の慈善活動が行われていたとの新たな事実も見出され、思想史上の空白部分を埋める学術的成果が得られた。
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