研究課題/領域番号 |
19K00156
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡本 源太 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (50647477)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アビ・ヴァールブルク / ジョルダーノ・ブルーノ / 想像力論 |
研究実績の概要 |
本年度は当研究計画のなかでも基礎的な資料・情報の整理に重点を置く予定にしており、本年度前半期にはヴァールブルク最晩年のブルーノ研究旅行において重要な進展のあったローマに研究滞在し、調査をおこなうことができた。あわせて『ヴァールブルク文化科学図書館日誌』およびノート『ジョルダーノ・ブルーノ』の読解により、ヴァールブルクのブルーノ研究の再構成を進めた。本研究計画と関連の深いブルーノの著作『しるしのしるし』と『紐帯一般について』の翻訳・註釈も進め、公表にむけて準備をおこなった。ブルーノのこれらの著作には、中世ヨーロッパの政治神学とは異なる、政治呪術とも言えそうな構想が含まれており、その想像力論を基礎にした社会理論・政治理論はヴァールブルク晩年の『ムネモシュネ・アトラス』の基本思想ときわめて親和的なものと思われた。出版物としては、ジョルジョ・アガンベン『事物のしるし』およびユベール・ダミッシュ『カドミウム・イエローの窓』の共訳書がある。アガンベンとダミッシュのいずれも、ヴァールブルク理解にとって重要な指摘をおこなっている現代の研究者である。アガンベンの「生の形式」概念およびダミッシュの「アンフォルム」概念は、ブルーノからヴァールブルクにいたる想像力論の延長線上で展開しうる議論の一つとしても理解でき、そこから翻って本研究の理論的争点を明確することに役立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降の研究の基礎を固めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、次年度はブルーノ『傲れる獣の追放』とヴァールブルクの占星術図像研究の検討に取り組みはじめる。
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