研究課題/領域番号 |
19K00327
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
渡瀬 淳子 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (90708637)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大名文庫 / 蔵書印 / 蔵書構築 |
研究実績の概要 |
主に市内のいのちのたび博物館と、近隣のみやこ町歴史民俗博物館に所蔵されている小笠原氏の蔵書について、市内の博物館を主体に調査を行った。博物館では、所蔵されている400点余りの資料のうち、前の年度から継続の分も含め、300点余りの調査を終えることができた。 現在までの調査の結果、いのちのたび博物館所蔵の資料のうち、蔵書印のあるものは極めて少なく、現在2点が確認されるのみであることが分かった。また、歴史民俗博物館所蔵の資料には、対照的に蔵書印が多く確認された。歴史民俗博物館で確認された蔵書印といのちのたび博物館資料の蔵書印は印影が異なるため、さらに東京の国立公文書館内閣文庫や、国文学研究資料館の蔵書の例などを調査した。その結果、蔵書印の製作された時期、押された時期が異なるのではないかと考え、学芸員への聞き取り調査を行った。まだ確証が得られたわけではないが、歴史民俗博物館の蔵書印は、小笠原氏が藩を豊津に移した後に押されたものと思われ、明治になってから資料管理のために押された可能性が高いことが分かった。 また、現在残されている小笠原氏の蔵書は、家系と家の芸(武家故実、礼法)に関連したものがほとんどで、極めて偏った蔵書構成になっていることも確認できた。これは他の大名文庫の蔵書構成と比べても特殊な形なのだが、歴史史料の中には当主の代替わりにあたって徳川将軍家に貴重な古今集の写本を贈ったことが見え、蔵書印を手がかりに小笠原家旧蔵書を探すと能狂言の本や俳諧書などがあり、相応の文芸書のコレクションがあったことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市内の博物館に所蔵されている資料の約75%の調査を終えられたこと、みやこ町等その他の資料との比較検討が順調に進んでいることからこのように評価した。 ただし、年度末に予定していた調査については、新型コロナウィルス感染症の影響で調査の予定が立てられず、やむを得ず延期したものもあるため、今年度中に調査を実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
市内の博物館の資料については調査を完了させ、博物館に現時点での成果の還元を行いたい。 また、収集した資料の一部は翻刻を行うなどして成果を公開する予定である。 現時点ではまだ新型コロナウィルス感染症の影響が残っており、いつ調査を実施できるか分からない状態だが、県をまたいでの研究活動が可能になった時点で、延期していた調査を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、年度末に予定していた調査が行えなかったため。 調査ができる状況になり次第、調査を実施する。
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