18世紀末から19世紀前半の予約購読者と会員制有料図書館の読者層の相互関係が、文芸出版文化の現代に通じる多様性を生成する起点になったことを具体的な事例から示唆した。特に詩人コールリッジやサウジーは作家としても予約購読出版に関わり、少年時代から各種図書館の利用者でもあったので恰好の事例と言える。この事例以外にも、作家が図書館の会員であったり、作家が予約購読形式を利用した事例は多々あり、一方で図書館が予約購読形式で書籍を購入したり、作品の書評を掲載した定期刊行物を蔵書にしていたので、会員だけでなく、作家・文学作品に影響を及ぼしうることが明らかになった。
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