研究課題/領域番号 |
19K00420
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
永尾 悟 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80389519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ系アメリカ文学 / ホワイトライフ小説 / 白人性(ホワイトネス) / 黒人性(ブラックネス) / ホワイト・エスニック |
研究実績の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人作家による白人主人公の小説、いわゆる「ホワイトライフ小説」について、20世紀転換期の先駆的作品の流れを踏まえながら、隆盛期とされる第二次世界大戦後の作品を読み解き、同時代の人種言説との呼応性と文学的伝統との交差性を探るものである。その際、当時の雑誌や文学研究書などを紐解き、この時代におけるアフリカ系アメリカ文学をめぐる批評的意識とホワイトライフ小説への評価を検証する。 2021年度は、James Baldwinの文学の全体像を俯瞰するべく、第1作目の小説Go Tell It on the Mountain(1953)における黒人アイデンティティの問題を捉え直し、これが第2作目の小説Giovanni's Room(1956)における白人性表象といかに関連づけられるのかについて研究を進めた。 Go Tell It on the Mountainに関する研究は、日本英文学会九州支部第74回大会のシンポジウム「都市と連帯-文学的ニューヨークの探求」において発表を行い、この内容をまとめたものを、学会ホームページで上のプロシーディングで公開した。 2022年度の研究の準備として、Giovanni's Roomに関する学会発表と論文執筆のための資料収集と分析を行い、論文執筆に着手した。また、20世紀前半のアフリカ系アメリカ文学作品におけるホワイト・エスニック表象の系譜についての資料収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は学会発表等は実施したが、資料収集の中で新たな発見があり、研究の範囲を広げる必要性を感じたため、予定していた論文の執筆が間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の主な計画は、James BaldwinのGo Tell It on the Mountain(1953)とGiovanni's Room(1956)についての論文執筆を行うことである。 Go Tell It on the Mountainについては、2021年度に学会発表を行なったため、その内容を発展させたものを論文にまとめ、年度内に刊行する。Goivanni's Roomについては、本年度学会発表を行い、その内容を論文としてまとめ、年度内に刊行する。さらに、20世紀前半のアフリカ系アメリカ文学におけるホワイト・エスニック表象についての資料収集と分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた書籍や資料が複数入手できなかったことや、出張(海外での資料収集及び国内外での学会出張)ができなかったため、次年度使用額が生じた。書籍や資料については本年度中に購入し、出張についてもできる限り実施したい。
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