研究課題/領域番号 |
19K00488
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
岡本 尚子 国立民族学博物館, グローバル地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (90600817)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | J.-C.マルドリュス / 千一夜物語 / オリエンタリスム / 仏語圏中東地域文化研究 |
研究実績の概要 |
令和5年度は以下の調査を行った。 1.J.-C.マルドリュスによる未発表作品Cinq conteurs divins dans la lumiere(光に満ちた5人の神の言葉の語り手)に関して、以下の調査を行った。①フランス国立図書館における、手稿及び新たに確認されたタイプ打ち原稿のデジタル化作業:すでに手稿についてはデジタル化済みであったが、一部デジタル化できていない部分があったため、その部分のデジタル化を行った。これに加えて、これまで確認できていなかった当該作品のタイプ打ち原稿の存在が確認できたため、そのデジタル化を行った。②手稿及びタイプ打ち原稿の解読及び転写・データ化を行った。 2. マルドリュスの足跡調査①フランス在住の関係者への聞き取り調査:これまで把握していた親族とは別系統のマルドリュスの親族へのインタビューを行うことができ、資料が少ないマルドリュスの晩年の活動や、マルドリュス家の由来に関する伝承など、新たな情報を数多く得ることができた。②フランス国立図書館所蔵のマルドリュス宛の書簡の調査:幅広い年代にわたる書簡の存在が明らかになり、今後の解読作業によってマルドリュスに関する多くの新情報を得ることができると思われる。 3.『千一夜物語』関連の調査として、近年発見されたペティス・ド・ラ・クロワによる『シンドバード航海記』について、すでに発表した校訂版をもとに日本語訳と注釈による分析作業を行った。ド・ラ・クロワによる『シンドバード航海記』は、現存する中で最も古い日付が記されている写本からの翻訳であり、マルドリュス版との比較に際しても非常に重要な資料となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で全体の進度は遅れているものの、令和5年度に関しては、フランス国立図書館での調査や親族へのインタビュー等多くの新しい情報を得ることができ、今後の研究が飛躍的に発展すると予測できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き調査対象の原稿の転写・データ化、及び執筆時期に相当する晩年のマルドリュスの活動についての資料調査を行うとともに、手稿の現物の確認など現地調査を行う予定である。また、これまで確認できていなかったマルドリュス宛の書簡等からマルドリュスの活動について新たな情報を得ることができる見込みであり、そちらの調査を行い、特に晩年の活動についての情報を補足していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響で、令和4年度までは予定していた海外調査が実施できなかった。令和5年度より海外調査を再開し、令和6年度中には終了できる見込みである。
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