| 研究課題/領域番号 |
19K00520
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
福田 義昭 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (60390720)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | アラブ / 近代文学 / 地理的想像力 / 空間表象 / 世界観 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、近代アラブ世界の文学作品等が「地理的世界」をいかに表象してきたか、その概要を把握することを目的としている。文学作品をはじめとする多様な文化的テクストを題材に、さまざまな地理的概念・政治空間などがどのように認識され、表象されてきたかを分析する。それによって、近代アラブ人の「世界」観の変遷や空間的アイデンティティの変容を解明するための手がかりを得たいと考えている。
２年目にあたる2020年度は、以下のような研究を行った。
（１）当該分野の理論的文献を読み進めると同時に、アラブの留学生小説や近代の歴史を扱った20世紀のエジプト小説等の分析を進めた。エジプト小説に関しては、とくにアレクサンドリアを舞台とする作品を読み、首都カイロと対照しつつ、この地中海都市がいかに表象されているか、いかなる機能をもって登場しているか等を考察した。
（２）前年度に引き続き、アラブ諸国の国歌に関する研究発表「国歌に見るアラブ諸国のナショナル・アイデンティティ」〈政治と音楽〉研究会（オンライン報告、11月8日）を行った。
（３）20世紀のイラクを代表する作家フアード・アル＝タカルリーの作品のうち、定住しつつも「ベドウィン」「純粋アラブ」意識を保持する人物による独白体の短篇小説「パン焼き窯」（1973）を翻訳し、解説を執筆した（近刊の翻訳集に掲載予定）。
（４）事典項目「現代アラブ文学」「〈コラム〉ナギーブ・マフフーズ」（鈴木董・近藤二郎・赤堀雅幸編集代表『中東・オリエント文化事典』丸善出版、2020年11月）。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行により、予定していた現地調査や資料収集が行えていない。また、そうした状況下でオンライン授業など教育負担が増えたことと、扱うべきテクストの範囲が当初の予定より増えたことがあいまって、分析に時間がかかっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、歴史小説・留学生小説・旅行記などを読み直し、とくに「西洋」や「東洋」の表象を再検討する。また、国歌から見たアラブ諸国のナショナル・アイデンティティについて論文を執筆する予定である。海外渡航が可能になった場合は、これまで実施できなかった分も含め、アラブ諸国での調査および資料収集を行いたい。しかし、その見通しが立たない場合は、当初の計画を変更する可能性もある。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
上述のとおり、海外調査が新型コロナウイルスの流行により取りやめとなったため。今後、海外渡航が可能な状況になれば、その分を含めて海外での調査・資料収集に充てたい。
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