本研究は、「1965年」「離脱と帰属」「東アジア」という観点から、在日朝鮮人文学と沖縄文学の比較検討を目的とした。両文学に共通することとして、第一に、日韓条約の締結によって東アジアに新たな政治的文化的空間が生まれ、第二に、この条約の締結によって日韓米の新たな軍事的体制が編成され、それへの抵抗が在日朝鮮人および1960年からはじまる沖縄で生まれていたことがある。そのようななか沖縄文学は米国による実質的な信託統治を対象化し「日本」を問い、在日朝鮮人文学は日本へ定住化と南北朝鮮からの離脱をテーマとしていた。そして両文学とも「離脱と帰属」をテーマとしつつ、結果的に「東アジア」という空間を構想していた。
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