本研究は日本語の歴史研究の中でも、特に格システムの変化に焦点を当て、言語類型論の視点から研究を進めた。通言語的に格システムの変化はヴォイスの史的交代(対格型受動態から能格型他動詞など)がトリガーになる。上代日本語(8世紀頃)は、言語類型論的に活格型とよばれる格システムの特徴をもつ。平安時代以降の主格・対格型への変化の過程でヴォイスとの関係を明らかにするために、日本語歴史コーパス(国立国語研究所)Oxford-NINJAL Corpus of Old Japanese (国立国語研究所、オクスフォード大学)から大規模なデータをとり、格システムがどのように変化するかの実証研究を行った。
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