• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

量性を持つ副詞句・名詞句を介在とした日本語構造変化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00638
研究機関就実大学

研究代表者

岩田 美穂  就実大学, 人文科学部, 准教授 (20734073)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード並列 / 形式名詞 / ギリ
研究実績の概要

2020年度は、(1)述語句を担う並列形式の史的展開の全体像をつかむため、上代から中古にかけて見られる並列形式であるミ並列についての調査・考察、(2)ギリの条件形式化が形式名詞ギリ全体の展開の中でどのように位置づけられるかの考察、の2点を進めた。
(1)並列形式として本研究で取り上げてきたのは中世以降に発達した形式であったが、述語句を担う形式全体の変遷を考える上で、上代から中古にかけてのみ見られる接辞ミによる並列構文の位置づけをする必要が出てきた。そのため、本年度は上代・中古の文献を調査し、ミ並列の成立と展開について考察を進めた。その結果、ミによる並列は、中世以降に成立するタリによる並列と共通している点が多く、ミによる並列からタリによる並列へという繋がりが想定できることが明らかとなった。この成果は、研究論文として公開した。
(2)形式名詞ギリが条件形式化する背景について、形式名詞の文法化の点から見てどのように位置づけられるかを考察した。ギリは、条件形式以外にも諸方言において様々な要素に変化しており、多様な変化の過程を経たとみられる。そのような諸方言のデータと、中央語の歴史におけるギリの変化を合わせて、形式名詞としての変化としてどのようなパターンがあったのか、を整理検討した。その結果、条件形式は助詞を伴った副詞句への変化として位置づけられ、ギリの変化としては初期段階に位置づけられることが明らかとなった。その他にも、愛媛、長野、群馬等に見られる限定の副助詞的な形式への変化は、述語名詞としての用法から、共通語を中心に見られる際限を表す副詞句の用法は、江戸・東京語を中心として独自に発達したものだとみられる。この成果は、研究発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた研究課題を補足する内容について、想定外に考察が必要となったため。ただし、本年度の研究によって、総合的にはより全体像の把握が進んだため、必要な研究であったと考える。

今後の研究の推進方策

次年度は、述語句を担う並列形式全体の通史から、副詞句から名詞句への変化について考察を進める。また、本年度研究を進められなかった「カギリ」についての調査を行い、名詞句から副詞句への変化の過程について考察を進める。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、新型コロナの影響により、学会等がオンラインとなったため出張のための交通費を使用することがなかったため。本年度は、文献の拡充をすることで使用する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 述語句並列におけるミ並列の位置づけ2021

    • 著者名/発表者名
      岩田美穂
    • 雑誌名

      就実表現文化

      巻: 15 ページ: 48(33)-62(19)

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 形式名詞キリ・ギリの変化 ―地理的バリエーションから見る変化の多様性―2021

    • 著者名/発表者名
      岩田美穂
    • 学会等名
      国立国語研究所主催 シンポジウム「日本語文法研究のフロンティアー日本の言語・方言の対照研究を中心にー」

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi